『黙ってればかっこいいんですけどねぇ』

鍛練後の汗を井戸水で流している張遼へそう呟く。
張遼は手拭いで顔を拭くとナマエに近付いた。

「それはナマエは男として私を慕っ」
『そういうとこが残念なんですよ』

間髪入れずナマエがそう告げると張遼はにこりと微笑みを腰掛ける。兵達の掛け声が心地良くてナマエは聞き入る。その間は張遼も言葉を紡がない。
しかし突如聞こえたそれにナマエは隣を見る。
先程の水浴びのまま上半身は何も纏っていない張遼が両手で鼻を包み込んでいたのだ。

『…服を着たら如何です?』
「いや、なに、ナマエを見てると体が火照ってな。」
『いまくしゃみしてましたよね?』
「していない」
『いやむしろ見てるこっちも寒いんで』
「なんと…来るといい!」
『もう死んでくださいよ』

はぁと溜め息を溢す。
汗をかいたままのせいか風が少し肌寒いと感じ始めた。ぶるりと体を震わせると鼻腔がむずむずとし始める。

(あ、くしゃみ出そう)
「ナマエも体冷えてきたのではないか?」
(もうちょっとなんだけど)
「ナマエ?」
『もう、うるっ…しぇえい!!』
「!?」
『ああやっと出たー』

くしゃみがでた事ばかりに気をとられていたナマエだが、ふと気付く。張遼が顔を覗き込んだ瞬間盛大にくしゃみをかました挙げ句、喋りながらのくしゃみだった所為で目の前にいた張遼に唾を吐きかける形になってしまいナマエは我に返る。

『あ、ごめんなさい張遼殿』
「ふむ、ナマエに唾を吐きかけられるのも悪くな」
『ちょっと!きたない!きもちわるっ!』

唾のかかった顔を拭こうと手を伸ばすがさっと避ける張遼を半ばのし掛かるようにナマエは張遼の顔面を掴む。
袖口を伸ばし、張遼の顔面をこれでもかと擦り付けた

「ナマエ、痛いですぞ」
『張遼殿が気持ち悪い行動起こすからです!』
「あっナマエこんなところにいたのね」
「ここに居たか、張遼」

タイミングよく現れた呂布と貂蝉はその光景に固まる。
端から見れば、ナマエが張遼を押し倒してひん剥いて襲っているようにしか見えない。

『あの、これは違いますから』
「何です、邪魔なさらないでください。いまからいい」
『まじで黙ってください』
「ナマエ、何か…邪魔してごめんね?」
『ちょっ、貂蝉様!違う!ホントに違いますから!』
「うぉぉおナマエ!きさま!」
『ひぃっ』
「俺に構わず張遼と戯れるとは何事だ!」
「ふふ、呂布殿、羨ましいでしょう」
『もうお前らほんと屑!』


(もう、りはんするかしゅっぽんかどちらかします。)
















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