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・・・あの日から、どれだけ経っただろうか。



承太郎君は結婚した。

他の皆もそれぞれ故郷に帰って行った。


僕はずーっと、典明君の傍にいる。

時折やってくる承太郎君が「もう良いから、お前も前を向け」と言ってくれるけど、僕はその場から動けない。






失敗した。

ごめんなさい。

上手に出来なくてごめんなさい。

やっぱり僕は、僕は・・・



そう謝罪を続ける僕。



あぁ、そろそろ杜王町の話になるんだろうなった頃になった。

本当なら、杜王町の話になるまで、皆で楽しく過ごしたかったのに。


ぁーあ・・・何で、全然上手くいかないんだろう。

何で何で何で・・・



こんなことなら、中途半端に最強設定じゃなくても良かったのに。

もし僕が最強じゃなければ、僕はきっと必死になって典明君を守ろうとしたのに。


最強設定で自分の能力を過信してたから、典明君が怪我をするまで僕は何も出来なかったんだ。しなかったんだ。

全部全部僕の自業自得なんだ。


僕のせい。全部全部・・・






「ごめんねっ、典明君」

ぎゅぅっと典明君の手を握って呟いた。






ピクンッ

「・・・ぇ」


典明君の瞼が、少し揺れた気がした。

長年典明君の顔を見つめてきたけど、そんなこと今までなかったのに。




「ん・・・」

唸る典明君。


あぁ、まさかまさか・・・





「・・・ど、して・・・泣いてるんだい?ナマエ」

「典明、くん・・・」


「ナマエ・・・おはよう」

「っ、おはよう、典明君」


僕は泣きながら典明君に抱きついた。











その後駆け込んできたSPW財団の医師たちの診察で、体力はかなり落ちているものの、命に別状はないという診断を受けた。

体力を戻すため、リハビリを続ける典明君。もちろん、僕もそれに付き添う。


移動する時は僕が車椅子を押す。





「ふふっ・・・」

「嬉しそうだね、ナマエ」


「うん。またこうして、典明君を喋れるから・・・嬉しいんだ」

「・・・そっか」


典明君が少しだけ下を向く。

どうしたのかと思えば、典明君は泣いていた。




「ど、どうしたの、典明君」

「ごめんね、ナマエ」

どうして典明君が謝るのだろう。




「承太郎から聞いたよ。僕のせいで、君はこれまでの人生を全て棒に振ってしまったんだね」

「ち、違うよ。典明君のせいじゃない。元はと言えば、これは全部僕のせいで・・・」


まさか典明君がそんな風に思ってしまっていたとは知らなかった。

僕は慌てながら否定する。


だって、これまでのことは全部僕自身の自業自得なんだから。





「もう、良いんだよ。僕のせいで、君が人生を棒に振ることはない。リハビリだって一人で出来るから、君は自分のやりたいことを――」

「僕のやりたいことは、典明君と一緒にいることだっ」


僕は声を荒げて言った。

僕の言葉に少し目を見開く典明君を、ぎゅっと抱きしめた。





「お願いだから・・・そんなこと言わないでよ典明君っ。やっと、やっと典明君を取り戻せたんだ。なのに、また手放せって言うの?」

「ナマエ・・・」



「典明君と一緒に居たい・・・典明君じゃなきゃヤダっ・・・お願い、一緒にいさせて。迷惑だってわかってるけど――」

「迷惑じゃないっ・・・僕は不安なんだ。何時か君の邪魔になるかもしれないってことが。君は優しいから、僕が邪魔とはきっといわないだろう。でも、本当は邪魔なんじゃないかって・・・」




典明君が泣いてる。

僕のせいで泣いてる。


やっと救えたと思ったのに、僕はまた典明君を救えずにいる。

どうしようどうしようどうしよう・・・





「・・・典明君が邪魔になることなんてないよっ、だって僕、こんなに典明君が大好きで、必要なんだっ」



そうだよ。

僕は典明君がいてくれなきゃ嫌なんだ。


だって、典明君が大好きで、何よりも大事で・・・

だから承太郎君に何を言われても僕は典明君の傍を離れなかった。



ずっと目覚めないなら、僕もずっと動かないつもりでいた。

それだけ、僕は典明君のことが・・・






「好きですっ、だから、一緒に居てください」


「ナマエ・・・」

ぎゅぅっと抱き締めたままの身体はやっぱり細くて小さい。

僕は泣きそうになりながらも笑って「駄目?」と尋ねる。




「本当に、僕で良いの?」

「典明君が良いんだ」


典明君は泣いたまま、ふにゃっと笑みを浮かべた。





「じゃぁ・・・よろしくお願いしても、いい?」

「僕の方こそ、よろしくお願いします」


くすっと笑う典明君に、僕は漸く安心したように笑った。




「そうだ!リハビリ、上手くいったら杜王町に行こうよ、典明君」

「杜王町?」

きょとんとする典明君。

そっか、典明君は、承太郎君が今そこにいることを知らないんだね。



「そこに、承太郎君がいるんだ。二人でいって、吃驚させよう」

「ふふっ、それは名案だ。そうとなれば、もっとリハビリしないとね。付き合ってくれる?」


「もちろん」

僕は嬉しくなって、口元に笑みを浮かべながら車椅子を押した。





驕り少年の反省話




あとがき

『質問』の
【今週の金曜日にJOJO三部の花京院が腹パンデーを迎えるので花京院夢を……】
を実行しました。

腹パンデー!?
そ、それは祝わねばなりませんね(ガクブルッ




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