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DIOの寝室のベッドでゴロゴロとしながら、ナマエは大きな欠伸をした。



「DIOちゃん、DIOちゃん」

「何だナマエ」



ナマエはDIOのことを『DIOちゃん』と呼ぶ。


精神年齢が小学校低学年程しかない彼は、人の名前にちゃんを付けて呼ぶ。もちろん例外もあるが。

例えばヴァニラなら『ヴァニラちゃん』なのだが、テレンスは『テレンスさん』と呼んでいる。


何故かと言えばご飯を作ってくれる人だかららしい。





「DIOちゃんはどーして何時もそんな恰好してるのー?」

つつつっとナマエの指がDIOの腹を撫でる。


「何故そんなことを聞く?」

少しくすぐったいのか、DIOは小さく笑った。


「質問を質問で返した駄目だよー」

むぅっとした顔をするナマエに、DIOは涼しい顔で「先に答えろ」と言う。




「DIOちゃんは意地悪だなぁ。・・・んー、DIOちゃんの格好って、すっごく色っぽいでしょ?それに格好良いし、強いし、皆DIOちゃんのこと好きになっちゃうよー」

「不満か?」


「別にDIOちゃんが皆に大好きになって貰えるのは良いけど、DIOちゃんが見られてるのはやー」

まるで子供が駄々をこねるように、ナマエは足をじたばたと動かした。





「そういうお前も、相当色っぽい格好をしているぞ?」

DIOが言うナマエの服装・・・



「これは脱いでるだけー」

The☆パンイチ。


カイロは暑い。それに精神年齢の低さがプラスされ、ナマエは恥ずかしげもなく脱ぐのだ。

だが、床に脱ぎ捨てられている服も十分布が少ない。


館内ですぐに服を脱ぐナマエをどうにかしようとテレンスが気を利かせていろいろと涼しい服を作るのだが、現状はあまり良くならない。

テレンスに『館内で服を脱がないでください!』と怒られたナマエは、DIOのところでだけ脱ぐようになった。


何故?と思うかもしれないが、話は簡単。此処ならテレンスに怒られずに済むからだ。




「今日はそれほど暑くない。服を着たらどうだ?」

「じゃぁ、DIOちゃんも着ようよ」


「もう着ている」

「ぇー?そぉー?」

不満そうな声を上げながらごろんっと寝返りを打ったナマエは、ぎゅーっとDIOに抱きついた。





「熱いんじゃなかったのか?」

「DIOちゃんは熱くないからいいの」


すりすりっと自分に頬擦りしてくるナマエにDIOはフッと笑った。




正直な話、ナマエがこうやって懐いてくる姿は嫌いではなく、甘受している部分もあるようだ。



精神年齢は低いが、スタンドの能力は高いナマエ。

子供の様な純粋な破壊衝動と、パワーを兼ね備えているナマエのスタンドを、DIOも重宝している。


DIOが拒否しないのを良いことに、ナマエもDIOに甘えるのだ。





「DIOちゃん、DIOちゃん」

「何だ、ナマエ」

「DIOちゃんの格好は好きだけど、こんな素敵なDIOちゃん、他の人に見せたくないなぁー」


更に強く抱きついたかと思えば、むぅっとした顔のまま言う。

子供特有の、誰にも渡したくないという純粋にして強固な独占欲。それを向けられているDIOは楽しげに笑う。





「ならばどうするのだ?」

「DIOちゃんを離してあげなーい」


「このDIOのスタンドの能力で、すぐに逃げ出してしまうぞ?」

「ぅー、DIOちゃんは意地悪だ」



拗ねたような顔をしながらDIOに頬擦りしたナマエは「じゃぁ、テレンスに上着作って貰おうよー」と言う。

ナマエにしては正統派なその言葉にDIOは「まぁ、それでも良いだろうな」と頷いた。





「ではナマエも服を着なければな」

「暑いのにー?」


「ナマエが着れば、このDIOも着よう」

「んー・・・じゃぁ、ズボンだけー」


よっこらしょっと言いながらズボンを穿きに行くナマエを見てDIOは声を上げて笑った。




「DIOちゃん、DIOちゃん。服着たよ。偉いー?」

「あぁ。テレンスが涙を流して喜ぶだろうな」


「テレンスさん、ご褒美にデザート多めにしてくれるかな?」

「あぁ。このDIOが頼んでおいたやろう」

「やったぁー。DIOちゃん大好きー」



楽しげに笑ったナマエは、DIOに飛びつきながら「デザート、デザート」と口ずさんだ。







大きな子供






(コンコンッ、ガチャッ)
(「DIO様、失礼しま――・・・ナマエが部屋の中でズボンを穿いているっ!?」)
(「テレンスさーん、偉い?偉いー?」)
(「ククッ・・・テレンス、ご褒美にデザートでも作ってやれ」)
(「は、はい」)
(「わーい、デザートぉー」)




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