おまけ
学校中で話題になっていた。
涼しげな表情。何があっても穏やかで物腰柔らか。
イギリスからの帰国子女で、貴族の末裔らしい。
家は金持ちで、だからあんなに手つきも優雅なのだと誰かが言っていた。
正直、本人見るまではそんなのどうしようもなくどうでも良かった。
が・・・
絡まれているソイツを見て、驚いた。
怯えるでもなく、怒るでもなく、ただただ冷静そうな顔をして・・・
まるで全てを見透かしたような顔に、絡んでいるはずの不良たちの方が圧倒されていた。
その威圧感に耐え切れずに殴りかかった奴等を、気付けば俺は伸していた。
「有難う、かな・・・ぇーっと、初めまして空条君」
目の前で起きた乱闘を全く気にせずに俺を笑みを向けたソイツに俺は驚くしかなかった。
同時に、コイツは本当に何者なんだ?と言うぐらいに整ったソイツの顔にも驚いた。
気付けばソイツの腕を掴んで歩いていて、それで・・・
「綺麗な目だね」
そう言われた瞬間、ビリビリッと電気が走るような感覚を感じた。
どうしようもねぇ話だが・・・
あの時確かに俺はアイツに惚れた。
よく話すようになって、ナマエのヤツが金持ちでも貴族の末裔でもないと聞かされても、まぁそんなもんだろうなと思った。
正直そういうのはどうでも良いんだ。ただ、意外にもコイツがよく喋るヤツだともわかって良かったとは思う。
最近ではコイツの最強伝説が勝手に噂になっているが、コイツはどうにも危機感がないらしい。
「承太郎君」
「・・・うっせぇ」
悪戯っぽく笑って俺の名を呼ぶナマエにデコピンを食らわせつつ、俺は果てなく周囲から勘違いされるコイツの将来を軽く心配した。