「ぬあぁぁぁぁぁああああッ!!!!!!ヴォルデモート様ぁ!!!!我が君ぃ!!!!!一体何処へ行ってしまわれたのですかぁぁぁぁぁああああああッ!!!!!!!」
DIOの館にそんな声が響いたのは、突然だった。
DIOは突然目の前に現れた真っ黒なローブを身に纏った男に「誰だ貴様」と殺気を向ける。
しかし男はそれを全く意に介さず「クッ・・・我が君っ、一体何処へ!」とブツブツ言っている。
「おい」
「むっ!!!おい貴様!!!!我が愛しの君ヴォルデモート様を見なかったか!!!!!黒く美しい御髪に赤い目のそれはそれは高貴なるお方だ!!!!!」
ガシッとDIOの肩を掴んだ男に、DIOは軽くキレて殺そうとする。
「何事ですがDIO様!」
そこへタイミング悪く?やってきたのはヴァニラ・アイス。
自分の主の肩を無礼にも掴んでいる男にヴァニラはキレた。
スタンドを発現させ、男を攻撃しようと――
「むっ!?『インカーセラス』!!!!!」
男は懐から取り出した棒切れのようなものを振り、ヴァニラを縛り上げ、次に『エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)』と声を上げ、光り輝く獅子がヴァニラのスタンドであるクリームを止めた。
なっ!?と驚くヴァニラを余所に「まったく・・・マグルがいきがるな」と冷ややかな視線を送る男。
「妙な力を使うようだが、魔法使いの私にたてつこうなどと・・・これだから品の無いマグルは!」
もはやヴァニラには興味がないと言いたいように今度はDIOの方を見て、その棒切れのようなものを向けた。
「大人しくお前が知っていることを吐けば、命だけは助けてやろう」
「・・・ほぉ、このDIOにそのような口を聞くというのか」
愉快そうな顔をしたDIOは、ギラッと歯を見せて笑った。
「む・・・その牙、吸血鬼か!」
男はさっとDIOから3メートルほどの距離をとる。
「吸血鬼に殺し方は心得ているが・・・骨が折れる。我が君を探し出すのにそんな無駄な時間は取れんな・・・」
「待て。お前の言う主人はお前のようにその妙な力を使うのか」
「・・・ふんっ・・・良いだろう、教えてやる。俺の主であるヴォルデモート様はそれはそれは崇高なるお方だ。闇の帝王と畏れられ、いずれはマグルを滅ぼし魔法使いだけの世を作ってくださるお方だ!吸血鬼、貴様はなかなか見どころがあるな。どうだ、貴様もヴォルデモート様に仕えるか?」
「冗談。逆にそのヴォルデモートとやらをこのDIOの配下にしてやろう」
「ほざけ。我が君は貴様のようなヤツに屈するほど軟ではない」
自分の主を馬鹿にされたと思ったのか、男はグググッと奥歯を噛みしめた。
それは縛られて床に転がっているヴァニラとて同じこと。
男はヴァニラが殺気を向けていることに気付き、くるっとヴァニラの方を向いて近づいていく。
「もう良い。DIOとやら、お前じゃ話にならないな。コイツにしよう・・・」
男はヴァニラの額に棒切れを当て・・・
「『インペリオ(服従せよ)』」
何のためらいもなく“許されざる呪文”を唱えた。
途端に静かになったヴァニラの縄を解いた男は「此処は何処か言え」と命令する。
「・・・カイロ、です」
「大分遠いな・・・お前、ヴォルデモート様・・・いや、黒髪で赤目、俺と同じような力を使う男を見たことあるか」
「ぃい、え」
「・・・本当に知らないらしいな。ならお前の名は」
「ヴァニラ・アイス」
「先ほどの能力は」
「スタンド」
「スタンド?守護霊呪文のようなものか?まぁ良いか・・・もう良いぞ」
くるっとヴァニラに背を向けると、ヴァニラはハッと正気に戻ったような顔をし、さぁっと青ざめた。
「あぁ、DIO様!!!!このヴァニラ、何たる失敗!!!!この命を持って償わせて――」
「いや・・・興味深いものが見れた」
DIOはニヤニヤと笑いながら男に近づく。
「おい。貴様、名前は」
「ナマエだ」
別に教えても問題ないと思っているのか、すんなりと言ったナマエにDIOは近づく。
「お前の言うヴォルデモートという男は知らぬ。だが、一緒に探してやらんこともない」
「・・・ほぉ?」
「どうだ?ヴォルデモートとやらが見つかるまで、この屋敷にいるというのは」
「見返りは何を求める、吸血鬼よ」
にやりと笑ったナマエに「話が早い」とDIOは嗤う。
「このDIOに協力しないか」
「命は張れないが、多少なら構わない」
「あぁ。それで良い」
DIOとナマエは軽く握手を交わした。
おまけ⇒