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ドキドキドキドキッ


あぁ、駄目だ、ドキドキする。





「ん?どうかしましたか?イルーゾォ」


「ぃ、いや・・・何でもない」


「そうですか?」

「ぁっ、あぁ」




ドキドキドキッ


もう駄目だ。心臓が煩すぎてどうにかなってしまいそう。



目の前にいるのはチーム一博識で他人の記憶を操作するスタンドを持つ男。


よく情報収集や隠蔽工作を担当していて、攻撃力はあまりないから補助として任務に就くことが多い。




物腰柔らかく丁寧な口調の彼が何故この暗殺チームに配属されたのかは今でも深い謎だが、俺はそんなこと気にならない。

そんなことより気になるのは・・・






「イルーゾォ。やっぱり様子が可笑しいじゃないですか、こんなに顔を赤くして・・・こっちにおいで、風邪かもしれないから見てあげましょう」


「っ!ぃ、いい!別にいいっ!!!」



「おや・・・私に触られるのは嫌ですか?」

「そっ、そんなことなぃ、けど・・・」





嫌なんじゃない。

いやむしろ嬉しいぐらいだ。


俺はナマエが俺をどう思ってくれてるのか気になる。




だ、だって・・・こうやって時折気を遣ってくれたりするし、も、もしかしたら・・・なんて。


べっ、別に自惚れてるわけじゃねぇよ!?

ただ、俺はナマエの事がっ・・・






「イルーゾォ?」


けどっ、恥ずかしいし・・・




あぁぁぁあああッ、何で俺はこんなに駄目なんだっ!!!

これがプロシュートやメローネだったら上手い感じに出来るのに・・・!





「やっぱり赤いですね・・・」


「ぇっ」



ぐいっと引かれた腕と、一気に縮まったナマエとの距離。


縮まりすぎていきなり俺の目の前にはナマエの整った優しげな顔があった。




「〜〜〜っ!!?!??!!??!」

「ぁ、こらっ、逃がしませんよ」


慌てて離れようとする俺の頭の後ろに手をやって、俺の顔を自分の胸に押し付けさせたナマエは「どれどれ・・・」と俺の額に触れる。



因みに俺はといえば・・・






放心状態だった。







此処のチームは大体露出の高い服を着ているが、ナマエはハイネックを着込んでいてあまり肌を外に出すことはない。


目の前にあるのはハイネックの黒。



けど俺が半ば強制的に顔をうずめているそこからは心音と温かな体温を感じた。




あぁ、駄目だ・・・





「ちょっと熱いけど、熱ではないようですね・・・イルーゾォ、大丈夫ですか?」

「へっ、平気・・・」


もう目がぐるぐる回ってくる。




触れた身体が意外とがっしりしてるだとか、傍で感じるナマエの吐息が耳にかかってるだとか、頭に回されていた手が何時の間にか腰に回ってるだとか・・・


そういういろいろなことが俺の頭をショート寸前まで追い込んでいた。





たぶんナマエの手が腰にあるのは成り行きだ。


だって俺は今にも崩れ落ちそうな程ぐにゃっぐにゃになってるし、ナマエが支えてくれなくちゃすぐにでも倒れるだろう。





「イルーゾォ、もしかして任務疲れですか?」


「ぃ、ぃや・・・」




耳にかかる吐息がぞくっとした。


ナマエのもう片一方の手が心配するように俺の頭を撫でてくる。

見るヤツによってはきっと、これは・・・







「あぁー!!!ナマエとイルーゾォがいちゃついてるー!!!!」

「おや、メローネ。お帰りなさい」



め、メローネ!?




「何々、二人ってそんな関係?」

そう言って「ベネ!!!」と叫んだメローネを今すぐにでも殴りたいが、生憎今の俺は腰が抜けて動けない。


というかナマエは何で俺を離してくれないんだっ!








「イルーゾォの具合が悪そうだったので、ちょっと額に触らせて貰ってたんですよ」


「じゃぁその腰に回った手は?イルーゾォは何でナマエの胸に顔を押し当てたまま動かないの?」




きっとニヤニヤしながら尋ねているであろうメローネに軽く殺意を覚えた。


けれどナマエは「ふふっ」と小さく笑って俺の頭を撫でた。






「どうやら疲れてるみたいですね。けどまぁ、こんな私の胸であればいくらでもお貸ししますよ」


メローネは「じゃぁ俺は〜?」なんて問いかけているが、ナマエは「また今度」と優しい声のまま流した。


メローネは「ちぇ〜」っと言いながらドタドタッと走って行った。きっとリゾットに報告書出しに言ったんだろう。







「イルーゾォ、体調はどうですか?」

「べっ、別に風邪じゃないし・・・」


そろそろ離してくれるだろうか。



もう心臓が破裂しそうなぐらい煩いんだ。






ナマエをちらりと見上げると、俺はすぐにそれを後悔した。


ナマエが・・・物凄く優しげな目でこっちを見ている。





ドキドキドキドキッ


あぁ駄目だ、今にも気絶しそうだ!!!!






「イルーゾォは綺麗な顔をしていますね」

「なっ、なっ・・・!」


頬に添えられた手。近くなる顔。



「もうちょっとこのまま、イルーゾォの綺麗な顔を眺めていたいですね」




「〜〜〜っ!!!!」

ガクンッと自分の首が傾くのを感じた。





「い、イルーゾォ!?」


薄れる意識の中でナマエが必死に俺の名前を呼ぶのを感じていた。






心拍数上昇中




(次に目が覚めた時、何故か俺はナマエの部屋でナマエに看病されていて、「よかったイルーゾォ」と笑ったナマエを眼の前に、今度は奇声を上げながら気絶した)




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