ぐぅ〜きゅるるるっ
「・・・おいおい、大丈夫かいアンタ」
真夜中、暗殺の仕事を終えてそのまま帰ろうとしていたリゾットは・・・
空腹でダウンしていた。
ふらふらの身体をなんとか引きずって歩いていると、手に美味しそうな香りのする紙袋を持った男が歩いて来た。
明らかに不調そうなリゾットを心配してか、男は困ったように「腹が減ってるのか?凄い腹の音だ」と言う。
「構わないで、くれ・・・」
「あ、そうだ」
リゾットの声を無視した男はガサガサッと紙袋を漁り「あったあった」と笑う。
「俺の飯食う?夜食に買ったんだけど、アンタ今にも死んじまいそうだし」
そういって差し出されたのは一枚のピッツァ。
しかしリゾットはそのプライドからか警戒からかはわからないが、それを受け取ろうとはしない。
男はそんなリゾットに笑みを向け「大丈夫だ」と言う。
「気にすんな。困った時はお互い様だ」
ピッツァ片手に優しく笑った男に、リゾットは大きく目を見開く。
キュゥーンッ
リゾット・ネエロ(28歳)
ピッツァの王子様(仮)に惚れました。←
ついついピッツァを受け取って食べるリゾット。
そのピッツァの美味しいこと美味しいこと・・・
無言のままもぐもぐと食べるリゾットを心配したのだろう。
男は「はい」と缶コーヒーまでリゾットに渡した。
「美味い?」
こくっと頷くリゾットに「それは良かった」と笑う。
キュゥゥウウンッとリゾットが一人ときめいていることを男は知らない。
「さっきのピッツァ、俺のお気に入りなんだ」
「!・・・すまない、俺が食べてしまって」
「何言ってんだ、アンタ。俺の好きなもんを美味しそうに食べてくれてるんだ、逆に嬉しい」
にっと笑った男にリゾットはもはやときめくしかない。←
「おっと、もうこんな時間だ。少しは腹は満たされただろ?じゃぁな」
「ぁ・・・」
名前を教え合うことすらないまま、男は「チャオ」と言ってリゾットに背を向け、歩いて行ってしまった。
しばらくその場でぼんやりしていたリゾットは、ふわふわした気持ちでアジトに帰って行く。
もちろん、敵に襲われても良いようにスタンドはスタンバイ済だが。
「・・・・・・」
「おいおい、どうしたんだよリゾット。お前らしくねぇぞ、そんなにぼんやりして――」
「プロシュート・・・」
「な、なんだよ・・・」
神妙な面持ちをするリゾットに、プロシュートは息をのむ。
「・・・ピッツァの王子様に出会った」
「はぁぁぁぁあああ!?!!!??!??!?!?」
その日、アジトではついにリーダーが可笑しくなったと少し大きめの騒ぎとなった。