中学んときと、高校生になった今。

 何が変わったかというと大して何も変わってない。学校には外部生が何人か入学したけどほとんどが内部生、顔触れはあまり変わらない。俺が所属するテニス部のメンバーも変わらないし、相変わらずのやり取りを交わす日々(今日だって真田のたるんどる!がテニスコートに響いてた)。
 教室の窓枠から身を乗り出してシャボン玉を飛ばしていると、高校に入り初めて同じクラスになったジャッカルに「仁王も相変わらずだな」と言われた。そのとき丁度クラスに丸井がやってきて「ジャッカルー数学の教科書貸せ!」と叫んだ。瞬間のジャッカルの苦笑いこそ相変わらずである。


 覆すようなことを言うけれど、もちろん変わったこともいくつかある。そのひとつが、部活仲間の柳だ。高校生になってから毎日、部活終わりの柳のことを待っている女子がいる。「ああなまえ。待っててくれたのか」そう言って柳は女子の頭を撫でる、微笑む。「柳が…笑った…!?」そう言いながら丸井の口元のエメラルドグリーンはパチンと割れた。俺も無意識に、プリッと呟いていた。


 俺はその女子の名前を知らない。柳が呼んだことによって下の名前がなまえという名前であることは知っているけど、苗字を知らなければ何組かもしらなくて、つまりあの彼女は外部生。




「やっぱり参謀の…。…彼女?」
「…………だろい」

 丸井とそんな話をした部活の帰り。やっぱり今日もあの女子は柳を待っていた。沸き立つ俺の好奇心。そっと近づいて、「なあ」と俺は声をかけた。その女子は首を傾げる。


 お前さんって柳の彼女なんか?







「…なんで?」


 それが俺らのはじめまして。



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