「明日から一緒に帰れねえから、ごめんな」

 帰り道、夕日の橙色を背にして彼から言われた一言。彼は両手を制服のポケットに突っ込んだまま呟いた。私はそっか、とだけ返す。彼は片方の眉毛を少しだけ下げて、理由とか聞かねえの?と私に言った。明日から部活忙しくなるんでしょ?と笑って返す。


「何で知ってんの?」
「そろそろそんな時期かなって思っただけ」
「、そっか」

 それから彼は、実は合宿に行くんだということを話し始めた。他の学校と合同合宿だということ、彼には少し苦手な先輩が居て寝泊りまでも一緒なのはちょっとキツイなってこと、彼が教えてくれる一つ一つにうん、うん、と頷く。期間は一週間ほどらしい。っていうことは学校も来ないの?と尋ねると肯定の言葉が返ってくる。それに付け足し帰ってきてから補習があるのが面倒だけどと息を吐いた。
 そこまで話したところで私たち二人は私の家の前まで辿り着いた。明日から頑張ってねと私が笑うと彼は、まかしとけ!と同じように笑った。手を振って別れる。彼はもと来た道を歩き出す。


「バイバイ、赤也」

 冷たくなった右手をぎゅっと握り締めた。付き合い始めた頃はいつも手を繋いで帰っていたからもっと温かかったはずなんだけどな、そんな思いと一緒に苦笑いを零してから赤也の背中を見送って私は家の中へ入った。



温度差が染みる




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