4月20日、俺の誕生日。俺は朝からうきうき、していて。二人の小さい弟たちも朝一番に「兄ちゃんおめでとう!」なんて抱きついてきてくれたから、すごく嬉しかった。やっぱ家族に祝ってもらえるって幸せだよなあ。いい日になりそうだ。


 今日はいつもより春らしい暖かい朝だった。なんかこういう日って気分いいよなあ。自転車で通学路を駆け抜けて学校へ到着。風紀委員で校門に立っていた真田と柳生に会った。おっす、おはよ!って片手を上げたら、二人がおはようと返してそれから「誕生日おめでとう」って。珍しく真田も笑っててびっくりした、けど、嬉しい。教室に行けばクラスメイトに「誕生日おめでとう」って言ってもらって。クラスにはジャッカルをはじめとして部活仲間が来てくれて。いつも思うけど、こんな日は特に思うけど、俺ってかなり友達に恵まれてて幸せだよなあ。





「ブン太、お疲れさま」

 そしてあっという間に放課後。部活帰りに俺のことを待っててくれたのは、俺の大切な女の子。今日は俺の行きたいところに行こう、って言ってくれたから新しくできたケーキ屋に行くことにした。「いっつもそれだねえ」って少しだけ呆れたように、だけど優しく笑ってくれた彼女に、きゅーん。



「さー何食うか!」
「夜ご飯あるんだから食べ過ぎちゃだめだよ」
「わかってるって」
「とか言ったけど美味しそうだなあ、私もいつもより頼んじゃおうかな」

 結局買ったのは彼女が二つ、俺が四つ。俺はまだまだ食べれるんだけど、家では母さんが張り切って料理を作ってくれているはずだから、今日は我慢。
 俺がフルーツタルトを頬ばっていると、正面からすっと手が伸びてきた。「ねえねえ!」。何?って聞き返すと、彼女が何故だか嬉しそうになった。



「私のイチゴ、あげる」
「え?」
「ブン太誕生日だから。はい、あーん」
「えええ、…あ、あーん…」


 ゆっくりと俺の口に運ばれたそれは、当たり前だけど甘酸っぱくて。俺たちみたいだ、なんて言ったら俺は当たり前のように彼女にバカにされるだろうけど。満足そうに笑っている彼女への気持ちは耳たぶが熱く真っ赤になってしまうくらい甘くて、満足そうに笑っている彼女の存在は俺の心臓をきゅっと掴むように切なく、酸っぱくて。



「…ありがとな」

 いつもならお礼なんて照れくさくて言えないけど。今日は、優しくなれる気がして。今日は朝から沢山おめでとうって言ってもらって、嬉しかった。けどその分俺も沢山ありがとうって言えていて、嬉しかった。…俺、毎日誕生日でもいいなあ。やっぱり人には沢山ありがとうって言いたい。やっぱり、優しくいたい。



「…なんか、幸せそうだね」
「うん、…俺恵まれてんなーって」
「あはは、そうかもね」
「幸せだなあ」
「ブン太が幸せならそれで私も幸せだよ」


 照れくさそうにそんなことを言った彼女に、その言葉をそっくりそのまま返したい。俺だって君が幸せだったならそれで、って。こんな風に、大切な大切な子と幸せを共有できるなんて、俺って、世界一、幸せだよなあ。



僕を幸せにする3つのこと




▽2011.04.20
丸井くんハッピーバースデー!
りんごほっぺさまへ提出。ありがとうございました!



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