「おはようございます今日も邪魔ですね」
「おい『何処』が『何』に邪魔なんだオラ」
「『存在』が、『世界』に、邪魔なんです」
「『背の高さ』が『掲示板見るのに』邪魔なんでしょ『あたしより背が低い』からフハハハ」
「無駄にかぎ括弧付けないで下さい打ちにくいんですよ」
「何を打つんだよ」


春がやって来た。このところ地球温暖化か何かで始業式に桜を観るなんて幻のように思える4月9日、あたしは高校3年生の始業式を迎えた。桜は例年しかり、もう既に地面とおともだちになっていた。ぺちゃりと地面に張り付いた桜の花びらを革靴のつま先でゆるゆると動かして、あたしは掲示板横の桜を見上げた。


「桜が散るのって、何だか悲しいね」
「突然何ですか気持ち悪いですね、あ、貴女の事ですよ桜じゃなくて」
「乙女は桜の木の下で、あの日約束した運命の人を待つの」
「無視ですかそうですかふざけんな」
「茶々入れないでよ盛り上がってんだから」
「貴女の頭の中がね」
「あ、来た!まいすいぃとですてぃにー!」
「正しく発音して下さい」

彼女のディス、ではなくですてぃにーは、彼女の声には塵ほども反応を見せなかった。掲示板の前で立ち止まってクラス分けが記された箇所に視線を投げかけたと思えば、こちらにちらりと一瞥をくれただけですたすたと歩きだした。その後ろから追い縋っていくあたしの隣にアレンもついてきて、横からうざ、いではなく五月蝿い声を発してくる。

「あーあ無視されましたよどんまーい」
「アレンうっさい邪魔しないで感動の再会だから」
「ウゼェ」
「ちょ、待ってよですてぃにー」
「ちょ、待ってよですてぃにー」
「ウゼェ」
「アレンちょっと真似しないでよ」
「ぷっすみません、面白かったもので、ぷっ」
「ウゼェ」
「ちょっとかん、だじゃなくてですてぃにー、あたしの事忘れちゃったの?ねえっ」
「ぷっあーあ泣いちゃってますよ、最低ですねかん、だじゃなくてですてぃにー、ぷっ」
「超絶ウゼェ」
「………」
「………」
「…何だよ」
「…神田って、ちょうぜつなんて言葉知ってたんだ…」
「びっくりしすぎてですてぃにーじゃ無くなってますけどそうですね驚きですね」
「テメェら刻むぞ」



プリンスは遅れてやってくるらしい

10/01/27

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