思いがけない敵が現れた。まさか反対されるなんて夢にも思わなかった。元々お楽しみ会ダイスキ人間(だとあたしは踏んでいる)なのに、まさか反対されようとは。ちらりと彼の顔を覗き込めば、口をへの字に曲げてそっぽを向いた。


「おま、そんな事したって可愛くないぞ!」
「へーん」
「ちょ、だから、ちゃんと話聞いてってば」
「反対はんたーい」
「きいぃぃい!」


奇声を発しながら(今回は自分でも自覚はある)彼の顔の真ん前に、ずらずらと文字が並んだプリントの束を出す。ん、と彼に読むようプリントを振って促すけれど、強情にも彼は更に顔をあらぬ方向に向けた。ちくしょ、これが漫画で良く見るつーんってヤツか!なるほど、つーんは目の前でやられると心底うざいことをあたしは学んだ。よし、今度神田にぶちかましてやろう。………じゃなくて。


「なに拗ねてんのさキモいよ早く読んで!」
「可愛くないんじゃないの?キモいの?オレちょうしょっくなんだけど」
「超ぐらい漢字でいいなよ神田じゃあるまいしそしてキモチワルイ」
「ずえったい読まない」
「何でよ!」
「断固反対」
「何で!」
「い・や・だ・か・ら・で・す!」
「ラビのケチエロ変態」
「へんたいじゃない!」
「ラビのケチエロ反対」
「へんた……いじゃねえな」
「何で新・体育大会プログラムに反対すんのよ!」
「そうだぞラビ。何で反対なんだ?」
「あー園田うるへー!」
「ちょ、園田くんに当たんないでよ」
「あーあーなまえも五月蝿い!」
「だからあ、何で反対すんのさ!」
「あーもう、何で皆は全員一致で賛成なんさ?一人くらい反対者いなかったのかよ」
「い・ま・せ・ん!」
「何でさ!」
「フハハハハざまあないわね神田メイド服企画で全会一致だったわフハハハハ」
「ちょ、それは……………
見たいな」
「フハハハハ」
「だから、ラビも賛成でいいだろ?な?」
「園田うるへー!」
「ちょ、園田くんに当たんないでよパート2」
「なまえもうるせー」
「やんのかコラ」
「よし表出ろ」
「命令すんな」
「お前こそすんな」


なんだと、と言おうとしたちょうどその時、突然隣からぷっ、と誰かが吹き出す音が響いた。その方向へ振り返れば、さっきまで味方をしてくれていた園田くんがにっこりと、いや、にまにまと?笑って、こちらを見つめていた。


「……どど、どしたの園田くん」
「あ、………はは、いや、分かりやすいなあって」
「なにが?」
「んーん何でもない、よな?ラビ?」
「………うるせーさ」



あたしは目を白黒させて二人を見つめた。相変わらず園田くんはにまにましてるし、ラビはぶすっとあたしに反抗期の様子を見せている。けれど二人の間にはお互いを理解し合ったような雰囲気があった。何でこの二人は意思疎通が図れているのかこんな一瞬で。謎だ。だから男の子の友情とかってよくわかんないんだよなあ。



よくわからない世界はほんとうにあるらしい

10/05/06
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