自分でも思えば良く分からない始まりだった。その日任務が一緒だったのも偶然。アクマを破壊している時に彼女がその首に掛けていたネックレスを落としたのも偶然。それが瓦礫の山の中で光るのを僕が見たのも偶然。その、彼女に不釣り合いな大きめの指輪に鎖を通したネックレスを、彼女に手渡す時に彼女が見せたほっとした表情に、何時もの様にあの言葉を吐いたのは、偶然か、それとも。彼女の大きく見開かれた目を何時もの如く心の中で嘲笑して、僕はゆっくりと唇に弧を描いた。偶然を指折り数える10/04/03