BLACK COAT06

『ありがとう。ねェ…ロー。』

「?」

『あの時のコート、今、持ってる?』

「…あの時?…あァ。お前と二人で海に出た時に来ていたやつか?」

『そうそう。あれ、私に貸して?』

「…ダメだ。」

『なんでよ〜?』

「…お前が聞いたら笑うから…いいたくねェ。」

『ふ〜ん。言わないの?言わないのね?言わないと、くすぐるよ?』

「勘弁してくれ。」

『…ふふふふふふ。』

「…まだまだ、ずっと先だが…いつか子どもが生まれたら着せてやりたいと思って…た、」

『ふふふ、え!??!…』

「…。」

『ん。解った。でも、すこし貸して。』








そんな甘いやり取りをした記憶は新しい。






















今日はパンクハザードいよいよ上陸。


ローの部屋に御届け物。


私の心臓は今にも張り裂けそうなくらいドキドキしてる。

たぶん…。


これは不安のドキドキ。



でも、ハラハラしてたらダメなの。


ドキドキの方が、この先がありそうじゃない?未来がありそうでしょ?




『はい。これ着て。』


今日のために…あの日のツンツルテンのコートをリメイクしたの。
トーチューカソーで足元部分を織り上げて…首の部分も風が入らないようにした。



見上げたローはとっても凛々しくなった。

なにか懸命に考えて、頭の中を整理している。

私たちには話してくれなかったけど…それでも、私はローの事、信じてるから大丈夫。



「これ、あの時のコートか?…ロングコートに、なってんじゃねェか。」


『大丈夫。ローの子どもの分はここに。』


裏地を全部剥いで、御包みにした。そこにはちゃんとハートのマーク。
見せて大切に箱にしまう。


『ちゃんと責任もってしまっとくから!』


私の言葉にローは優しく微笑んだ。


「当たり前だ。お前がちゃんと責任を持って預かってろよ?未来の――――とな。」



『え?なんか言った?」




惜しいところが聞き取れなかったけど、今の私には聞き返せなかった。



緊張というか、いよいよだな、なんて…。




なるべくローには不安な顔を見せないように、精いっぱいの笑顔を作った。







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