海に沈む鼓動05

そのままカリプソに覆いかぶさった。





少しの罪悪感と、多くの幸福とを。



ゆっくりと噛み締めた。




『ずっとこうしたかった。』




ずっと昔に失った躰。



やっと見つけた躰。



薄い唇に、自分のそれを合わせる。




『んぅっ…!』



「カリプソ。っ…。」




名前を呼んだのは、カリプソと確かめるため。




カリプソの素肌に触れる。


手が触れる。

唇が触れる。

肌が触れる。




『あっ!』




それでも、何か違和感を感じてたまらなかった。




それを誤魔化すように抱いた。



『っぅ…。』




蠢く胎内は冷たく、おれを迎え入れてはくれない。





それでも尚、奥を突いた。




空しい。
なんて虚しいんだろう。





中身は愛しい人間なはずなのに、何故。





『ろぉ…もっと、』





涙を流して懇願してくる姿は紛れもなくカリプソ。

腕を伸ばして耳の裏を掴む癖は紛れもなくカリプソ。




吐息の感覚も、達しそうになると右手だけが震えることも。



紛れもなくカリプソなはずなのに。




『やぁっ、ん!』





何度果てても、カリプソのナカから離れたくない。



離れたら、それで御仕舞いのような気がしたから。





『泣かないで…。ロー。』





気付けば、汗に紛れて涙が一粒。
髪の毛の一本一本を慈しむように撫でるカリプソ。




『ずっと、見てた。あなたのこと。』




震えた唇で、紡いだ言葉。





ためらうように、瞳を揺らして。





勇気を出して振り絞る先の言葉は、おれの予想と違うことを祈った。






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