ピンポーン
 
涼一はゴソゴソとベッドから出て、床に落ちているYシャツをはおって玄関へ向かう。
 
ガチャ
「はい」
 
玄関の外には小柄な女性と女の子が手を繋いで立っている。
 
「おはよう。あれ、寝てた?」
「寝てた」
「理奈あずかってくれない?」
「うちは保育園じゃないんだけど」
「保育園は入れないんだってば満杯で。いいじゃんどうせ暇なんでしょ」
 
涼一は寝癖の頭をポリポリかいてため息をつく。
 
「何時まで?」
「わあ、ありがとう。8時までには迎えに来るから」
「本当?」
「本当本当。これ、ご飯代と子守り代。じゃ、私行くね。理奈、いい子にしてるんだよ」
「うん!」
 
玄関のドアを閉めると、女の子は元気に部屋の中へ入っていく。
 
「朔ちゃんいる?朔ちゃん朔ちゃん!」
 
女の子はベッドの上にダイブ。
 
「ぐわっ」
「あはは、朔ちゃんまた裸で寝てる」
「ちょ、リナ降りて、重っ…」
「ねぇなんでいつも裸なの?裸で寝て楽しい?」
「え、えー…と」
 
涼一は後ろから女の子を抱き抱える。
 
「リナ、朔まだ眠いって」
「ねぇなんでなんでなんで!」
「夏は暑いから裸で寝たいんだって」
「ふーん。じゃあリナも裸で寝る」
「ダメ」
「なんで?」
「リナは女の子だから」
「えぇー」
「ほら、朝ご飯用意するから手洗っておいで」
「うん!」
 
女の子は洗面所へ走っていく。朔はのっそりと身体を起こす。
 
「…そのごまかし方、冬はどうするの」
「あー…考えてない。とりあえずパンツくらい履けば」
 
涼一は床に脱ぎ捨ててある朔のトランクスをベッド脇に置く。洗面所から女の子の声がする。
 
「涼ちゃん、タオルがないー」
「あー、はいはい」
 
涼一はベッドの横にある引き出しを開ける。
 
「…なんかだんだんとお母さんみたいな雰囲気に」
「や・め・ろ」
 
タオルを取り出し、バンと勢いよく閉める。
 
 

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