「……あなた、だぁれ?」

突然隣に現れた金吾に、ナマエは目を丸くして尋ねた。

「…うっ……わあああああん!」

「えっ?えっ?
なんで泣くの、どうしたの?」

ナマエは泣き出した金吾にどうしたら良いか分からず、オロオロするばかり。

どうしよう…と首を傾げたナマエは、ふと自分が泣いた時の事を思い出した。

そっと手を伸ばし、金吾の頭をよしよしと撫でる。

「泣かないで、大丈夫よ!」

ニコッと笑ったナマエに、金吾もうんと頷く。

しばらくして落ち着いた金吾は、「道に迷って…」と話始めた。

「父上と狩りに来てたんだ。
そしたらいつの間にかはぐれちゃってて…。」

「狩り…?
でもここは私の王宮にある果樹園よ?
動物なんていないわ。」

「王宮……?」

お互いに顔を見合せ、パチパチと瞬きをする。

「うーん、でも道に迷ったのなら出口まで案内するわ。」

ナマエはそう言うと、金吾の手を握った。

「こうしていれば、はぐれる心配もないわね!」

「うんっ!」

ナマエは元来た道を歩き出し、金吾は繋がれた手をキュッと握りしめ共に歩き出した。


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