むかーしむかしのお話です。
とある王国に、まだまだ幼いお姫様がいました。
ある日の事、お姫様はお城の果樹園の中を歩いていました。
ふと、お姫様は小さな声を聞きました。
それは、誰かの泣き声のようでした。
お姫様はキョロキョロと辺りを見回してみましたが、声の主がどこにいるのか分かりません。
一体どこから聞こえてくるのだろうかと首を傾げた時です。
お姫様は唐突に、男の子を見つけました。
彼はお姫様の隣にいたのです。
どうやら先程から聞こえてくる泣き声の原因は、その子のようでした。
男の子は迷子になっていて、心細い思いをしていました。
優しいお姫様は彼の手を取り、出口へと導いてあげました。
すると不思議な事に、出口に着いた瞬間男の子の姿は跡形もなくなっていました。
実は男の子はお姫様の世界の住人ではなかったのです。
彼は、別の世界からやって来ていたのでした。
こうしてお姫様と男の子は出会い、運命の歯車は回り始めました。
星の導きにより出会った二人は、時を越え、時空を越え、一年にたった一度だけの逢瀬を重ねていく事になったのでした。
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