ナマエを追いかける金吾は、段々と距離が縮まり僅かの差で先に森を抜け出たと思った。
全力疾走をしたために息が上がり、心臓も大きく鳴っている。
「もう…いきなり走り出さな…い…あれ?
ナマエ?」
辺りを見回してみてもナマエの姿は見当たらない。
変だなあと森を見つめていると
「金吾!」
背後からよく知る声を聞き振り返る。
「父上!」
「どこへ行っておったのだ、探したのだぞ!」
「ごめんなさぁい……。」
パタパタと駆け寄りしがみつく。
「しかし一人になっても泣かなかったのだな……。」
頭を撫でられ、エヘヘと笑う。
ナマエといたからだろうなぁと思いながら、無事に父に出会えたことに安堵しつつ家路につく。
金吾は父の手に引かれながら、途中何度も森を振返ったものの、やはりそこにナマエの姿はなかった。
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