「先輩おそいですね…」



左近がぽつりと呟く。
それに反応して乱太郎たちも呟く。


「雨がふりそうですしね…」

「もうすぐかえって来るはずなんだけど…まさか穴に落ちて…」

「なんですかそれ…すごいスリルー」


その時どたどたと走る音がしたと思思うとすごい勢いで扉があき、そこには伊作が立っていた。

「いっ…伊作先輩??お帰りなs「数馬!!!今すぐ布団を敷いてくれ!!」は…はい!!」


そこにいた委員たちは今までにない伊作の焦りに驚いた。


「左近は薬と包帯を!」

「は…はい!」

「委員長!布団できました!」

「数馬ありがとう!この子寝かせて!」


その日はずっとバタバタしていた。少女は出血多量だったので真っ青な顔をしていた。

委員たちは名前も知らない少女を一生懸命治療した。

そのおかげで少女は少しずつ回復していった。


「…ふう…」

「顔色がどんどん良くなって来ましたね…」

「あの…伊作先輩?」

乱太郎が伊作におずおずと声をかけた。

「なんだい乱太郎?」

「結局この子はだれなんですか?」


みんなは聞きたかったのか視線が集まる。

「そうだね。ちゃんと説明しなきゃね。」


伊作は少女にであった時の話をしだした。






「…なるほど…それでこの子を連れてきたというわけですね。」


「でもこの子どうするんですか?」


「そうだね…動けるようになったら学園長に相談しなきゃね…」


伊作は眠ってる少女を見ながら苦笑いした。

その時少女の瞼がぴくりと動き、とろとろと目があいた。


「んん…」

「気がついたかい?」

少女の肩がびくりと跳ねた。どうやら警戒しているようだったので伊作は少女に優しく声をかけた。


「大丈夫。ここにいるのは君を痛い目にあわせたりしないよ。」


そういって撫でてやると自然に警戒心がとけたようだった。

「ここ…どこ?おにーちゃんだれ?」

「ここは忍術学園というところだよ。私は善法寺伊作。君は?」

「こよりは羽島小愛っていいます」

そしてふと何か思い出したように悲しい顔になり

「そっか…おとうさん…おかあさんもういないんだ…」

と呟いた。

「(こんなに小さいのになんて酷な現実だろう)」

果たして自分がこの年でこんなことがあったら耐えられただろうか。

小愛はまた何かを思い出したようで懐から紙を取り出した。


「こより…おとうさんからさいごにおてがみをわたすようにいわれたの。」

「だれにわたすの?」

「んんー…うんー…?」

どうやら小愛はまだ文字が読めないようだった。

「小愛ちゃん読んであげようか?」

小愛はこっくりうなずいて数馬に手紙を渡した。

「えーと…¨大川平次渦正殿¨…?…!!委員長!これ!!!」

「学園長宛じゃないか!!」

「つまり小愛ちゃんの親は学園長と関わりがある…ってことですか??」

「乱太郎。わからないけどとりあえず学園長の所へいこうか」


伊作は小愛に上着を被せ傷が開かないように抱き上げた。




((「どういうことなんだろう…」))




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