しかし安心したのもつかの間、三次郎があわててこちらに走ってきた。
「先輩大変です!カメムシ越冬隊を出そうとしたらミーちゃんが逃げてしまいましたぁっ…!!」
「ミーちゃん…っ!!」
「よしじゃあ先にミーちゃんを探してから行こう!!」
「「「「「はい!」」」」」
生物委員たちは、はいつくばり菜箸を取り出しミーちゃんをさがしだす。小愛は八左ヱ門の背中までよじよじとよじのぼった。
「みーちゃんまいごなの?」
「おお。小愛も探してくれるか?」
「うんわかった!みーちゃんみーちゃん…」
小愛は八左ヱ門の上できょろきょろと共に探しだした。そのとき向こうから小松田さんがこちらに向かって歩いてきているのに気付き、八左ヱ門はあわてて大きい声を出した。
「うわあああっ!きちゃダメー!!」
「あー。こまちゅださんだー」
「うわあぁぁ!?5年ろ組の八左ヱ門くん、3年い組孫兵くん!1年い組の一平くん、ろ組の孫次郎くんに、は組の三治郎くん、虎若くん!それにえっと…伊作君ところの小愛ちゃん…だっけ…?なにしてるの…?」
「予算会議に行く途中で虫を逃がしてしまって…」
「ひいい!?なんで予算会議に虫なんか…!…なんの虫なの?」
「いやー…あっはっは…」
「?」
「あっはっはって…!というか小愛ちゃんがなんでこんなところに?」
小松田さんが不思議そうに首を傾げると、八左ヱ門は探す体制のまま「ああ…それは」とその質問に答えた。
「伊作先輩が風邪だからですよ。生物委員で預かっているんです。」
「なるほどー。あっ…」
小松田さんはバランスを崩したのか今まであげていた片足をおろした。すると脚の下からプチっと何かを潰したような音が聞こえた。
「「「「「あああああああっ!!?」」」」」
「みーちゃん!」
足を下げた小松田さんがみーちゃんを踏んでしまったようで、生物委員会の面々は悲しむ。
しかし小愛は一人竹谷の背から降り一点を見つめていた。
「…?小愛そんなとこでどうした?」
「あっあのねはっちゃ!あそこにむしさんいるの!」
小愛の言葉に八左ヱ門は「え!?」と驚き壁際の草を見た。するとそこには小松田さんに潰されたと思われていたみーちゃんがいたのだ。
「みーちゃん!?」
「えっじゃあ小松田さんが踏んだのは?」
「小松田さんちょっと足あげて!」
「へ?う…うん」
「カメムシ!」
「小松田さんが踏んだのはカメムシだったんだ!」
「みーちゃんっ!良かった…!」
「小愛ちゃんすごい!」
「えへへー!」
生物委員たちが小愛を偉い偉いと撫でると小愛は嬉しくそうにえっへんと胸を張った。
「よし!じゃあみーちゃんも見つけた事だし急ごう!」
「「「「「はいっ!」」」」」
八左ヱ門は小愛を抱き上げ、後輩を引き連れて急いで会場へ急ぐのだった。
((「僕は…どうしたらいいの…」))