小説 | ナノ


※死ねた












「そこから何が見えるんさ」


 問いかけたって返事は来ない。慌ただしく団員が行き交う。辺りを見れば棺の山。こいつも、その山のひとつとなってしまった。

「よかったな」


 そんな言葉を吐いてすぐ、この発言は自己満足に過ぎないと思い至る。
 笑顔の絶えない奴だった。こんな地獄のような世界で、太陽のようだった。死ねてよかったなんてこと、あるわけない。こんな地獄のような世界でも、俺とこいつを繋ぐ世界だ。こいつがそんなことを、思うわけがない。


 人間は愚かだ。貪欲に生きたがる。自分に非なるものを悪と云う。いずれ悲しむことになるとわかっていても、誰かを愛す。あぁ、愚かだ。そんな俺もまた、愚かな人間だ。だからこうして、愛してしまう。


「ずるいさ、先に行っちまうなんて」



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わたしが神様だったら
こんな世界は作らなかった

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