小説 | ナノ


 昨日は散々だった。ファーストフード店を出たあとの高杉は風の向くまま気の向くままに放浪を始め、気疲れするわ肩はこるわ。でもなんだかんだで昼食やアイスなんかも奢ってくれたりしたんだよね。アメとムチ? 私に高杉の思考なんて読めない。今日こそは平穏なる夏休みを取り戻したい。

「ってことでね」
「いやいや。なんで俺んとこなんだよ」


 そう、私はダメ教師もとい銀八先生にかくまってもらうことにしたのだ。よかった、家が近所で。これで少しは私の平穏も守られるだろう。

「無視してナレーションしてんじゃねぇ」
「生徒にチョップしたぁーうわーんPTAにうったえてやるうー」
「その前にお前を住居侵入罪で訴えてやるわ」
「鍵も掛けずにコンビニ行く方が悪い」
「泥棒も逃げてくと思ってな。こんなボロアパート」
「あ、それ同感」


 またチョップされました。冗談だったのに、ひどい教師です。銀ちゃんはコンビニの袋からカップ麺を取り出した。20半ばの男がそんな栄養のないもの食べるのか。呆れた私は立ち上がる。

「なんか作ってあげよっか」
「お前料理できんの?」
「簡単なのだったら大体は」
「見つけたぜ、なまえ」
「げっ」

 高杉は窓から入ってきた。ちょ、ここ2階なんですけど。至極当然のように高杉は銀ちゃんの布団に座った。

「俺から逃げようなんて馬鹿なことを考えるもんだなァ」
「お前ら、俺の部屋をなんだと思ってんの?プライベートスペースだぞ。高杉お前、靴脱げバカヤロー!」
「……よし、炒飯作ろ」
「無視すんなって!お前が連れてきたんだろうが!なんとかしろよこの眼帯くんをよォ」
「なまえ、俺にもな」
「あーい」
「家で食えェェエエエ」


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