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在 ‐エルファス絶望期‐



静寂が訪れる暗き森に気紛れに僕は足を踏み入れる。


深い深い森の中。


僕の足音以外は鳥の鳴き声と獣の呻声。


それら獣には意志はなく、ただ本能のままに生きる。

―――魔物達も然り。



そんな心地好い空気に身をまかせ、
ただただ足を進める。



そして見つけた一輪の薔薇の華。



森の木漏れ日の恵みを受ける薔薇。



一輪ながらに気高く麗しく咲く薔薇。




その麗しき薔薇に影が落ちる。


―――魔物が、今にも薔薇を踏もうとした瞬間。


魔物が一瞬の内に灰と化し、風がそれを運ぶ。



―――僕がしたのだ。



僕はその白き薔薇に手を伸ばす。







薔薇は無残にも僕の手で握り潰される。



手のなかに残る花びらと、
手から零れ落ちた花びら。



「・・・・・・・・ふふふ」




美しい白い薔薇は消え、



――――妖艶な笑みを浮かべる白い人が残った。



華が存在したしたと言うことを―――もう、誰も知ることができない。


・・・・ただ一人を除いては。



Fen.

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