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パチパチと焚き火が音を奏でるだけの静かな夜。

火を見つめながら、思いを馳せる。



――――私はどうしてここにいるのだろう。



生まれ育った村を失い、家族を失い、兄を失った。



失意の中、出会った彼は兄が生きていると言った。



兄を探す。

それは旅の目的となった。



―――でも、それは偽り。



私はただ恐かったのだ。



初めて見る世界。

暖かく静かな村の外。

喧騒に溢れた沢山の建物やヒト。

兄に聞いてはいたものの自分がその世界に行くとは思っていなかった。



村では皆が家族のようなものだった。


―初めての孤独―

耐え切れたのは彼が居たから。





私をお人好しだという彼。
神官の娘として、巫女として神に遣える私。

ヒトに優しくするのは私にとって当たり前のことだった。

困っているヒトがいれば、助けてあげる。


自分の考えが間違っているとは思わないけど、彼はそれを快く思ってなかった。

それでも私が失敗を繰り返しても呆れながらも彼は傍に居てくれた。


彼は私を支えてくれた。


それに甘える私。


いつのまにかそれが当たり前になっていた。



……………そして今日、兄と再会を果たした。


兄は村の神器である仮面を被り、すべてのことを忘れ去っていた。


私のことも分からない兄に愕然とした。





―――でも、それ以上に。


いつも冷静な彼が声を荒げにする様子に何故か胸が痛んだ。


感情を押さえきれない彼。

それは兄への信頼の証拠。


(私は―――――兄の妹でしかないのでしょうか?)


自らの奥底に眠っていた感情。それは―――



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