幼なじみの特権


「で、あんたたちってドコまでヤったの?」

酒場の隅のテーブルで夕食を摂っていると、斜向かいのカルラ様が唐突にそう聞いてきた。

『―――へっ?』

思わず聞き返した声がアイリーンとハモる。

―――なんで、アイリーンまでそこで反応するんだ?

「だからぁ、あんたたちよ。当然もうヤってるんでしょ?」

僕とアイリーンの額を交互にフォークで小突きながら、トンでもない事を言う。

―――なるほど、やっぱりアイリーンとですか。

「とっ、とっ、とんでもないですっ!何でこんなのと!?私たちは、そんな関係じゃ……!」

例のごとく過剰反応するアイリーン。
……僕は「こんなの」ですか。まあ、慣れてるけどさ。

「へぇ〜。青竜軍を逃げ出してまで追っ掛けたくせに、まだなんだ?」
「……あっ……」

はは、何も言えないでやんの。顔が真っ赤だ。
だからなんでそう疑われやすい反応するんだよ。
そんな顔したら……

「で、実際のトコどうなの?」

……僕に矛先が向けられるじゃないか。



実際のところは、オズワルドから僕達は「幼なじみ」から「恋人」にランクアップしたことは、確かだ。
勿論そんなこと絶対に二人だけの秘密だけど。
でも、これだけはハッキリと、神に誓って断言できる。


「そんなあ、ヤってなんかいませんって」

――信じてください、事実です―――

しかし、やっぱり信じてもらえず、小一時間「ヤったか」「ヤってない」で額を小突かれ続けることになってしまった。
カルラ様、額が痛いです。

……アイリーンが過剰反応するからだ。

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