本館2000hitキリ番小説


神聖王国暦120X年。ディンガル帝国とロストール王国は和平協定を結び、嵐のような戦乱の日々は幕を閉じた。

人々の生活は活気を取り戻し、世界を救った勇者達はそれぞれの生活に戻った…。
そんなある日、エルズの女王エアから、十数人の勇者達の元に、1通の手紙が届いた。

その手紙は「ひさしぶりに皆で集って、エルズでパーティーを催したい」というものだった。

勿論、故郷ロストールの平民街で剣の稽古に励むアルシャインとアイリーンの元にも、その手紙が届けられた。
『手紙』というものに一瞬空中庭園の嫌な過去が頭を過ったアルシャインだが、もう危ないことはないだろうと、せっかくなので母子三人でエルズ旅行に出かけることにした。

アミラルからの船に乗り、エルズに着いた時には既に何人か見知った顔ぶれが揃っていた。

「お!二人とも元気そうじゃん!!」

早速声をかけてきたのはカルラ。さすが、神速の戦術家は何をやるにも神速だ。

「おひさしぶりです、カルラ…様。…母さん、この方は私のお友達…」
「その節はうちの娘がお世話になりました…」

ロストール人として、カルラへの気持ちは複雑なものがあるだろう。うっかり名前を出してから、「しまった!」とは思ったものの、母はその気持ちも理解して、押さえてくれたようだ。

「あ、これは、お母さま?御丁寧に、どもー;」

気まずいのはカルラも同様だったようだが。

そこへ、「あ!アルシャインだ!!」と、彼の顔を見つけて駆け寄ってくる、少年のような容貌の少女。
アイリーンの顔が一瞬凍り付く。…アルシャインの唇を奪った(らしい)、恋敵エステルだ。

「やあ、エステル!元気そうでよかった!ラドラスはどう?」
「ん……ん〜、まだ、なんとか暮らせてるよv」
(…なによ…私が側にいるのに…)

一瞬、アイリーンとエステルの間に火花が散ったが、その火花が大きくなる前に、今回の主催者、女王エアが現れた。

「来おったな、待っておったぞ。他の皆も、もう揃っておる。宿に荷物を置いたら、早う海岸に来るがよい」

一行は女王が用意した宿に案内され、そのままひと休みする間もなくエルズ海岸へと向かった。

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