『ひゅーぅ!』

廊下から口笛が聞こえてきた。くそっ、黙っとれ。

――あ、幼なじみといえば。

「ところで、ずっと気になってたんだけど」

「何?」

いつのまにか涙を流していたアイリーンに一瞬ぎょっとしたが、思い切って聞いてみる。

「幼なじみの特権って、何さ?」

「……ああ、えっと…カルラ様が言うには…」



・毎朝起こしてあげる
・ご飯を作ってあげる
・窓から部屋に侵入
・「ちゃん」付け
・いつも一緒にお出掛け
・結婚の約束


……いいのか、こんな危ないパクリを…
てか、なるほど。今朝窓が開いていたのは、3番のせいか!

「なんてベタな!」

「私も、毎朝起こす以外は抵抗があったわよ」

「……ふーん」

イライライライラ

「そこで聞いているのは判ってますよ!出てきたらどうですか?!」

僕はベッドから立ち上がり、勢い良くドアを開けた。
マンガみたいに部屋に傾れ込んでくるカルラ様とイオンズさんと……オルファウス(猫)様まで!?

「てへへー、元密偵だから、自信あったんだけど。バレた?」
「バレバレです」
「うわ、速答?でもまあ、結果オーライくない?」

そこに調子に乗るイオンズさんとオルファウス(猫)様。

「そうじゃとも!二人とも良い絵になりそうで、わしは全力で応援していたぞ!」

「そう。学んだことを理解できただけでも、今日の作戦は意味があったと思いますよ、アイリーン」

僕の後ろで、彼女が頷いた。

後日、今日の出来事は瞬く間に仲間中に広まって、一部の女の子からは避けられるようになってしまった。

本当に結果オーライか?

ただひとつ、未だに気になっていることがある。

『結婚の約束』……

これだけは達成されていない。

いつか、思い切ってしてみよう。
そしたら彼女の手は、戦を忘れて、綺麗になってくれるだろうか。

最後に、くどいようだが言っておこう。

神に誓って、まだ関係はありませんからね!

もう、アイリーンのいけず!

END.


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