「だが俺はお前の師匠のように甘やかしはせん。…ビシビシ行くぞ!!

ずびし!!と指を突き付け言い放つセラ。その迫力に押され、アルシャインは

は…はい

思わず返事がすくみ上がってしまう。

2、3歩、距離をとって、セラがアルシャインに向き直ると、セラは

「よし、ならばまず、服を脱げ。

と言い放った。
絶句するアルシャイン。

「な……なんで…………?」
「いいからとりあえず脱げ!」

アルシャインの中に疑念が渦巻きはじめた。

(い……いきなり何を言い出すんだこの人?)
(しまった……そっち系の人だったとは思わなかった。マズイ人に声かけちゃったよ)
(剣の技術の上達のはずが、おかしな技術教え込まれちゃかなわないぞ?)

しかし鬼教官と化したセラには逆らえず、彼はしぶしぶ身につけていた鎧を外しはじめた。

「わかりました………」
(そう言われてみればこの人やけに親友のこと熱く語るし…ああ、くそう、あの話の段階でこの人に『そっちの気』があるんだって気付けばよかった。でもここまで来たら引くに引けないよな。…よし、万が一何があってもすべての責任はこの人だ。たとえもうアイリーンに帰れない身体になっても諦めるんだ。たった今僕は死んだ。うん、死んだと思い込むんだ!)

「責任、とって下さいね」

清水の舞台に飛び込む思いで、アルシャインはズボンに手をかけ…

「『下』は要らん!」

慌ててセラは止めに入った。

(…なんだ。まだ下はいいのか…。何だよ、脱げッていったり脱ぐなって言ったり……こっちは死ぬ覚悟までしたのに。僕の芽生えかけた心のドキドキをどうしてくれるんだ……)

ぶつくさと愚痴をこぼしながらベルトを巻くと、セラは難しい顔で上から下までアルシャインの身体を眺めまわした。すると……

「……………ふっ」

鼻で笑うセラ。

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