一方こちらは夜の宴会の準備に勤しむ大人達の砂浜。 麻の敷物を敷き終え、テーブルや椅子が並べられる。 その家具の彫り物の美しさに、美術品に敏感なドワーフの目が光った。 「うむ、この作りは…!この椅子はリベルダム製の椅子じゃな?ロセン美術と古代の東ロストール地方の美術の良いところが融合しておる。これはどこから運ばれたものかな?」 そこへクリュセイスのお供の者が、「クロイス家の物を運ばせて頂きました」と答えた。 「流石クロイス家!素晴らしい黒椅子だぜ!ぶふっw」 ……………………………。 ………………………………。 ………………………………………………。 「ヴァン、そろそろ一緒に泳ごうよ」 「え?ああ、なぁ、今のけっっこうウケたよな?な?」 「…………そうか、クロイス家か。あのお嬢様もよばれたのか。これは今夜の酒が楽しみじゃわい!」 あっはっは、と、一同は乾いた空気を散らそうと、大笑いをした。 そこへ、意外と大胆な露出の水着を着たイークレムンが現れた。 「みなさん、おつかれさまでs……あ!」 「い、イークレムン!!なんじゃそのはしたない格好は!!」 久し振りに見た娘が霰もない水着姿になっているのを見、アンギルダンが激怒した。 「……な、なんですか?私は泳ぎにきたんです。それ相応の格好をしているだけですよ!」 反抗するイークレムンに、説教が止まないアンギルダン。 「アンギルダン殿、ここはまあ、若い者同士で楽しませてやってくだされ」 イオンズやアイリーンの母にそれぞれなだめられて、その場は静まったものの、アンギルダンは宴会の準備も手に付かず、そわそわと波打ち際から目が離せなかった。 一方水の巫女は海の動物達を呼び、海辺ではしゃぐ若者達を楽しませた。 「ココに掴まれば、イルカの背中に乗ることができるんですよ♪」 「うわ〜!すごーい!やってみたい!」 皆それぞれ沖のほうへ泳ぎ出し、イークレムンの呼び声に応じたイルカや魚達や海竜達と戯れた。 [*前] | [次#] 戻る |