「水瀬ちゃーん! この書類コピーよろしく」


「は、はい!」



私は安田さんから受け取った書類をもってコピー室に行こうとすると、後ろから誰かがついてくる気配がした。

誰だろう、と思って振り返るとそこには。



「や、安田さん?」



そこには私にコピーを頼んだ張本人がいて。



「どうしたんですか?」


「手伝ってあげようかと思って」



そう言ってにんまり笑う安田さん。


……あの。私にコピーを頼んだのでは、安田さん。


わけもわからずに、そのまま安田さんのペースにのまれる私。



「水瀬ちゃん、この間部長から怒られてたでしょ? だから、ここは上司の俺が慰めてあげようかと」


「は、はあ……」



安田さんの行動は、いつも本当にわからない。


動物で言うなら、猫?
でも、そこまでツンツンしてるわけじゃないし。


犬?
でも、なんか違う気がするしなあ……。


じっと安田さんを見つめると、可笑しそうに私を見て笑った。



「ほんとに水瀬ちゃんは可愛いなあ」


「え? や、いえいえ! 全然そんな……」


「その、きょどってるところもかーわーいーいー」


「か、からかわないでくださいよ!」


「えー」



なんて言いながらも、可笑しそうに私を見て笑う安田さんがぱっと私の持っていた書類を取った。



「こういうのは男が持つもんなの」


「いえいえ! ここは私が……」


「まあまあ、そう言わずに。ね?」


「あ、ありがとうございます……」



そんな会話を交わしながらコピー室に入り、私は安田さんから書類を受け取り一枚ずつコピーしていく。


そんな様子をじっと見ていて安田さんが言った。



「……水瀬ちゃんさ、好きな人いないの?」


「え!? いっ、いませんけど」



そう答えると、ただじっと見ていた安田さんが私の手に後ろからそっと触れた。


……え、ええ!?

ちょ、ちょっと待って。



「じゃあさ、俺とか……」



かっ、一真……っ!?





「ふざけんな、一真!!」



そう声が聞こえた瞬間には、一真の手も離れていて。
背後の気配も消えた。


ふっと後ろを振り返ると、床に倒れている一真と拳をもう一度! としている神木くんを必死に止めようとしている生徒もろもろ。



「だいたいな、そんなこと台詞に書いてないだろ! 水瀬さんも困ってるだろ!」


「お、おちつけ燈也!」


「そうだ、神木。落ち着け、落ち着け。なっ? 演技だから、演技!」






お粗末様です

(可哀想だけど、ごめんね一真。さっきのは本当にビックリした)





みんなが真面目に文化祭のビデオ発表を作ってるなか、ちょっとおふざけがすぎたかな? 一真。


その後、むっくりと体を起こした一真に、クラスメイトから散々怒られたのは言うまでもない……かな?






本編の幼なじみふたり組ですね。

3人とも同じクラスで、文化祭のビデオ発表作成中。という話しですね。
まさかの燈也登場です。
こやつは絶対にこうすると思って。

この作品は書きやすかった……!
なんてったって、一真ですから!←

水瀬ちゃんにはちょっと可哀想かもしれませんが、一真を思う存分遊ばせました。

ま、このあと制裁をクラスメイトから受けたわけですが(笑)


お題配布:ニーチェの鼻歌
ふろむ:さよならマリオネット





prev 




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -