リレー小説 私担当分 | ナノ


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グレイが問うと、妙なデザインの黒い服を着た幼なじみは、睨みをきかせて、ぬっと顔を近づけてくる。

「ここはどこだ…だとぉ?」
「え…」

混乱しながらも、グレイは後ずさり…それでも近づいてくる幼なじみを避けようとしたが、背後の木に遮られ、仕方なく自分も、じろじろ見てくる幼なじみの顔を観察する。
大きな目、派手な桜色の髪の毛、部活を引退してすぐだからか、まだ筋トレは続けているのだろう、背はあまり高くないが、均整のとれた体つきをしている。
何故か右袖だけない、変な服を着てはいるが、やはりこいつは昔からの腐れ縁である、ナツだ。
グレイは気を落ち着けて、他の連中を見回す。
ナツの背後で、静かにこちらの様子を観察している緋色の髪の女は、エルザのはずだ。
ナツ同様、幼なじみの一人で、今は花の女子大生のはずだが、目の前のエルザは、どう見ても重くて動きづらそうな鎧をまとい、物騒にも長い抜身の剣を手にしている。
逆にこちらの様子を気にもせず、下を向いて誰かと会話している女は、ルーシィ。
去年グレイのクラスに転入してきた大金持ちのご令嬢が、何故鞭を腰につけ、どこかのアニメの登場人物のような、コスプレじみた衣装を身に付けているのか。
コスプレじみたと言えば、自分の服にしてもそうだ。家を出た時は、Tシャツにチノパン。
暑かったから裸足にサンダルだったはずなのに、おそろしく襟の高いつくりの白いコートに黒いズボン、ごついブーツまで履いている。
まあサンダルだと、森の下生えが足に刺さって痒くなりそうだから、ブーツは正解なのだろうが…見ると、ルーシィもミニスカートの下は、かっちりしたブーツを履いている。
にしても、ルーシィは誰と話しているのか。
グレイが視線をルーシィの足元に落とした、その時。

ゴツッ

鈍い音がしたかと思うと、グレイの目の前に文字通りたくさんの星が散った。
ついで鼻の下の急所に鈍い痛み。
ナツが頭突きをしてきたのだと判るのに少し時間がかかったのは、あたりに気を取られていたからだろう。

「グレイ!お前ぼーっとしてんじゃねぇよ!急に倒れたかと思うと起き上がって『ここはどこだ』とか抜かすし、ちったぁ気合い入れろ!」

流れるようなナツの言葉にカチンときて、グレイは鼻を押さえながらも反射的にナツの胸ぐらを掴んで顎めがけて右拳をくり出す。
ナツはそれを避けながら、体を沈めてグレイの腹めがけてタックルしてくる。
地面に背後から倒れ込みながらも、タックルしてくる力を利用して、グレイは後ろにナツの体を放り投げた。

「こんにゃろぉっ!」

上手く受身をとったナツが次の攻撃を仕掛けようとした瞬間、ひゅんと緋色の風が二人の間に割って入る。
ガツ!ガツ!
強い衝撃と共に、頭の頂点が鋭く痛む。

「まったく…仲が良すぎるのも困ったものだ」
「良くねえよ!」

 二人の声が同時に森に響く。

「くそぉ…」

 頭を押さえて痛みを堪えるグレイに、足元から可愛らしい声がした。

「でもグレイー、ホントに平気?さっきも急に倒れたし」
「ん?ああ、大丈夫だ、どってことねぇ…」

グレイは足元の声に返事をし…信じられない光景を目の当たりにして愕然とする。
目の覚めるような青い色の猫が、後ろ足二本で立ち、自分に話しかけたのだ。

「もしかして…お前、ハッピーか?」

ありえない、こんなこと。ハッピーはナツの飼い猫だったはず。
ナツか?ナツが昔、神社の祭で売られていたカラーひよこのように、ハッピーを青く染めてしまったのか?
グレイは軽く目眩を覚える。

ここは、どこだ?こいつらは、…自分のよく知るあいつらとは、違うのか?

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っつか、カラーひよこって、見たことないんですが青ってある…のかな?

2012.9.5

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