「山本テメェ!!!」
緊急治療室の前、夕方の廊下に獄寺の声が響いた。
ダンッ、というオレを壁へ押し付ける音と一緒に。
「なんでっ…!なんでテメーが付いていながらこんな事になった!?」
「…っ……、」
ギリギリと締め付ける首元が苦しい。
でもツナはもっと苦しいはずだ。
押し付けられる背中が痛い。
でもツナはもっと痛いはずだ。
車に気付いたツナは、一緒にいた小学生をオレのもとへ投げた。
受け止めると同時に反動で足が止まってそれと同時に目の前でツナは車にはねられた。
なんでなんで。
抱えて逃げりゃ良かったのに。
なんで、
「死ぬ気じゃないツナは、ただの中学生だからな。」
小僧がそう言った。
「悪い…っ、」
「……あ…?」
「…悪い、オレっ……!」
「〜〜っ!!聞こえねぇんだよっ!!!」
獄寺の拳がオレの顔の真横を通った。
すぐ後ろの壁にぶつかってガンッと鈍い音がした。
獄寺は泣いてた。
オレは泣いてなかった。
壁を殴った獄寺の手からは涙と同じようにポタポタと血が流れてた。
それをただ、じっと眺めてた。
「…… 。」
オレの声が出てれば、きっと何か変わっていたのに。
なぁ、 。
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つな