「───  ッ!」


やまもとに、呼ばれた気がしたんだ。
振り返ったらそこに確かに山本がいて、







「山本の声、どうしたら出るようになるかなぁ。」


ぽつりとツナは呟いた。
そうな。オレの声な。いい加減不便だよな。


「      。」
「だよね。」


まぁなんでかツナとは会話できるんだけどな。
オレの声が出なくなってから、もう3週間が経っていた。

最近のツナの口癖はオレの声の事。
色々調べたり、シャマルのおっさんに訊いたりしたけど、結局これといった治療法はわからないまま。

(もうオレ、大丈夫なんだけどな…)


そう、あんな事があったけれど、それはツナとの間でもオレの中ででもカンペキに解決したのだ(ごめん、て言われて、オレも悪かったって)(お互いに悪かったってことでって。)

なのに、相変わらずオレの声は出ないまま。

(めんどくせーやつ…)


心底思う。自分でも。
はじめは自分の声が出てない自覚なんかなかった。
それでも最近はわかる。オレの声は出ていない(悪化?いや、ちょっとはノーミソが正常に動きだしたのかも)
でも、どうしたら出るのか全然わかんなくて。

「山本、帰ろう」
「 ?  。」
「大丈夫。山本の声、俺がなんとかするから。」
「  っ!      !」
「ううん、そんなことないよ。」


帰ろう、とツナはもう一回言って、オレの手をひいた。


帰り道、オレたちはいつものように話をしていた(いや、オレの声は出てないけど。)(でも、ツナとは会話が出来た)(やっぱツナってすげーやつなのな)
帰る途中にある少し大きな交差点。
そこを、いつものように歩いて。


「あ、山本。信号変わっちゃう。」


点滅しはじめた信号に気づいて駆け足で向こう側へ渡ろうとした。
向かい側からも小学生がぱたぱた走って来て、横断歩道のちょうど真ん中ですれ違う。


「わっ!」
「へ?」


何かにつまずいた小学生。
どうやら転んで膝をすりむいたらしく血がぽたぽたとたれていて、それに怯えたその小学生は泣いて動けなくなってしまった。


「山本!待って、男の子が、」

少し先を走っていたオレを呼び止めて、
優しいツナは助けようと駆け寄る。


「─────っ!?」


そのとき、だ


黄色から赤に変わる信号に、
急いで曲がって来た車がオレの視界に入ったのは。


「───  ッ!」


ツナの名前を呼ぶ。

あぁでもオレの声は出ないんだ。


目一杯の力で地面を蹴った。

どうか間に合えどうか間に合え、どうか───!



「───ツナッ!」


やまもとに、呼ばれた気がしたんだ。
振り返ったらそこに確かに山本がいて、



身体にドン、と鈍い衝撃。
遠のいてく意識のなか最後にぼんやりと見えたのは








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ツナ/わっかんねぇ/ん?おう/ははっ!頼もしいのな!


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