次の日の朝。
オレはいつも通りの時間に目をさました。
頭はもういたくなくて、逆に起きたばかりなのにすっきりしてるくらいだ。
いつも通り顔を洗って朝飯くって、朝練に行くために家を出た。
いつも通りだけど、少し気がかりなのはつなの事。
あのあとやっと泣きやんだつなを家まで送って、また明日な、と別れた。つなはうん、と小さく笑ったけれど。すごく辛そうで、笑った顔もぜんぜん可愛くなくて、オレまで泣きそうになった。
つなには、笑顔が似合うのに、見ていて悲しかった。
(今日ちゃんと学校くるかな。)
来なかったとしても帰りにつなん家よろう。
何が出来るわけじゃねーけど、またひどいこと言われるかもしんねーけど。
それでも、つなん家よろう。
(これ以上、つながおかしくなったら、いやだ、から)
そうして朝練が終わって、汗でびちゃびちゃになったジャージを着替えて、教室に向かうとき、
つなの後ろ姿を見つけた。(今日は獄寺いっしょじゃないのな。)
「つな!」
迷わず声をかける。
するとつなは振り返って、オレの名前を
「 。」
オレの、名前を
呼んだはずのつなの声は聞こえなかった。
「あれ、声、そんな嗄れちゃったのか?」
「 、 ?」
おかしい。
そう思ったのはつながもっかい喋ったとき。
確かにつなの声は聞こえないのに、つなは気にしていないようだった。
つなは、声が出てないことに気づいてない、のか?
「つな、おま…」
「十代目!おはようございます!」
何かの異変に気付いたとき、獄寺が後ろからかけてきた。
なぁ獄寺、つなが、変なんだ。
つな、声が、
「 、 。」
「すいません昨日、修行場でそのまま寝ちまって、」
「 。」
(これ以上、つながおかしくなったら、いやだ、から)
あぁ違う。
「つな、獄寺。」
「さ!十代目!遅刻になります行きましょう!」
「 、… 。」
オレの声は、2人には届かなかった。
おかしくなったのはオレのほうで。
つなの、声が
聞こえなくなって
オレの声が、
出なくなって。
あぁつな、
つなのいない世界なんて。
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