山本が、誕生日おめでとうって言ってくれた。
生まれてきておめでとう、って。



昔、彼に誕生日を祝ってもらってから、俺は自分の誕生日を忘れるなんてことはなくなった。
大切な人に、祝ってもらえる、それが嬉しくて嬉しくて。

誕生日が近づいたらそわそわしたし、当日に当たり前のように祝ってくれることに泣きそうなくらい喜んで。


俺は、山本の人生をめちゃくちゃにしたやつなのに、誕生日、おめでとうって。
ほんとに、ほんとに俺は、君の人生をめちゃくちゃにしたやつなんだ。
夢も未来も過去も奪った(野球も)(優しい奥さんをもらうことも)(平和だった日常も)
何もかもを奪ったやつなのに、




「やまもと、ありがとう、」
「おう」



なおも優しい表情で、俺の横にいてくれる。
俺を愛しいと言ってくれる。


ねえ、山本、
その言葉に俺がどれだけ救われてるかしらないでしょ?



「今日、スゴかったね。ありがとう。」
「アイツらはりきってたからなー」


守護者もそれ以外の部下も、ファミリー総出でボスの誕生日祝いをした(雲雀と骸は不本意、て感じでそこにいたけど)(でも確かに出席してた)

ずっと昔にツナん家でやった小さなパーティーとは比べものにならないほど豪華なもの。

ツナは始まりから終わりまでずっと笑顔で、嬉しそうだったからオレも嬉しかった。


みんなでやるパーティーのあとにオレたちが2人きりになるのは毎年決まっていること。
だから今年も当然、盛大に祝ったあとはツナの部屋に行った。


そこで改めておめでとう、と言うとツナはたいそうびっくりした顔をしていて、
そのあとなんだか切なそうにありがとうと返された。


(なんかいつもと違うこと言ったかな、)




いや、そんな訳がない。

10年たってもオレの頭は悪いまんまだったけど、
「誕生日おめでとう」が言えなくなるほどじゃない(そこは自信持てる)


「つな、」
「ん?」


それからいくつか言葉を交わしたけど、やっぱりツナはなんだか寂しそうだった。

ツナは優しいやつだ、
だから、オレの頭がバカになったんじゃないなら、

(超直感、なんてなくてもわかるよ)


「つな、」
「なにって」
「オレ、ツナの誕生日、毎年ちゃんと祝えて嬉しい」
「え、」
「こっち来てなきゃ、できなかったもんな」
「……。」


ツナの誕生日に、一番幸せになんなきゃいけないのはツナのはずなのに、


「オレ、ずるいのな」


ツナを差し置いて、ツナの誕生日に一番幸せになるのは決まってオレなんだ。

ツナが生まれてきて嬉しい、
ツナがひとつ歳をとることが嬉しい、
それを毎年祝えて嬉しい、
来年の約束が出来て嬉しい、


嬉しいがたくさん集まって、一番幸せになるのは毎年毎年、オレなんだ。


「…、  っ」
「オレ、ツナと一緒にいるのが一番幸せなんだ」
「、うん、」
「他の誰でもなくて、ツナなのな」
「うん、!」
「わかってる?」
「わか、ってる、」
「ほんとかよー?」


ほら、つな、
お前は優しいやつだから、

なんでもかんでも背負い込むやつだから、(やつだけど、)


身長が結構伸びてもオレにとってツナはちっちゃいまんまだ。
すっぽりと腕の中におさまる身体がずっとずっと愛しくて。


「誕生日、おめでとう、大好き」
「ありがと、」
「大好き」
「うん」
「だいすき」


そればっか、なんて笑うツナの笑顔は
ずっと昔から変わらなかった。

なぁつな、






ねえ、山本、
君の言葉に俺がどれだけ救われてるかしらないでしょ?
だから君はもっと大きな力で俺を救いあげるんだ。

君が幸せなら俺だって幸せなんだから、
俺の誕生日で一番幸せなのは俺たち2人だよ。




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ツナくん誕生日おめでとう!
いつまでもお幸せに!

実は去年のツナバ小説と繋がってます。



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