小学生のころ、中学生は大人だ、と思っていた。
だけど実際、中学生なんてまだまだほんとに子供で。
なってみたからって電車とバスに乗るのが高くなっただけで他には何もかわらなかった。

中学生になってみたら次は高校生。
高校生になったら次は大学生が大人だと思って。

気付いたらもう19になっていたけどやっぱりオトナという自覚はなかった。



*さいごのねがい




(…あれ?)
(あぁそうか。)



山本の家でクリスマスイブを過ごすことなった俺は、急にふと気付いたことがあった。
うん、そうだ、俺、


(…来年のクリスマスはもうハタチになってるのか)


ハタチってことは20歳ってことでつまり成人ってことであって。
オトナの仲間入りなんだなぁと思った(さすがに自覚した)
そんなことをもんもん考えていると、急に黙りだした俺にどうしたのかと山本が声をかける。


「んー、来年のクリスマスはハタチなんだなって思って」


サンタさんも今年で最後だね、なんて冗談で言うと山本は俺を後ろから抱き締めた。
はじめはくすぐったくてしょうがなかったその行為も、今ではなくては落ち着かないものになってしまって

「じゃあ来年からツナのサンタはオレがなる」
「ははっ!なにそれー」
「ほら昔あったじゃん『恋人はサンタクロース』って曲」
「『恋人が』?」
「あれ、そうだっけ?」
「わかんない」


まぁ確かに背は高いけど。
ダメだよ山本はプレゼントとかバットで打って配りそうじゃん。
そんなんプレゼントも子供たちも可哀想だ(あ、でも俺のサンタになるんだっけ?)(じゃあ大丈夫?)(って何の心配してんの俺。)


「んーでもやだな」
「なんで?」
「たしか、8時になったらサンタがくるんだよ。あの曲。」
「へー」
「うん。だからさ、」


夜の8時から、なんて言わないでずっとそばにいてよ。

後ろから回っている腕をほどいて、向かいあって。
たまに甘えれば当たり前のように受けいれてくれるのが嬉しくて幸せで。
幼く唇どうしをくっつけるのだって、ただ触れ合うのだってなんだって、やまもとだから。
やまもとだから嬉しくて幸せで。
ずっとずっと、この人が俺のそばにいればいいのに、(そう何度も思って)(祈って)



「  、んー」
「つなー」
「ん?」
「すき」
「うん。」


サンタさん、おとなになるまえの、さいごのおねがい。

この人を、俺にください。


こんな俺を、愛しいと言うこの人を。



「…やまもとがサンタならプレゼントはどー配る?」
「あー…バットでこーギューンと?」
「ははっ!」


おれがいちばんすきな、このひとを。




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メリークリスマス!!
なんかちょっと突っ走ったお話ですいません。

毎年メリークリスマスってイブに言うものかどうなのか悩みます。

08.12.24



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