何回も何回も、もう数えられない程に「好きだ」と言われて、
こんな俺を好きだと言ってくれて俺はこんなにも幸せなのに俺は数える程も好きだなんて言っていなくて、
どうしたらその差を埋められるかって

俺なりに必死に考えたんだよ。



ねえやまもと、
俺、山本が





野球をやってる姿が好き。

みんなに優しいとこが好き。

少し幼く見える寝顔が好き。

さりげなく、いつも傍にいてくれるとこが好き。


つな、って呼ぶ声が好き。

ぜんぶぜんぶ、山本だから



「やまもと、誕生日おめでとう」
「おう、ありがとうな!」


カチ、と時計の針がてっぺんをさしたとき、俺は山本の家にいた。

本当は23日も24日も平日だから学校もあるし外泊なんて許してもらえないんだけど、なんとか母さんを説得させることが出来た(本当に必死で説得した)(宿題がどうの、とか)(山本じゃないとわからない問題があるとか)(ほんと苦し紛れの説得)


「もー。しょうがないわね…。山本くんのお父さんに絶対迷惑をかけないこと、それからその宿題が終わったらすぐに寝て、学校には遅刻しないこと。わかった?」


そう言って、許してくれた。
宿題云々でリボーンの名前が出てこなかったのが何よりもの救いだ。


「つなが一番なー」
「だって、そのために泊まったんだもん。」


山本は人気者だ。
明日、俺が学校に行くまでに何人に「おめでとう」と言われるかわからない。
出来れば俺が一番に言いたかった。


「…なんかツナ素直なのな?」
「誕生日、だし」


同じ布団の中で、山本の体に頬を寄せた。
さらっと言いのけた俺を山本は照れくさそうに笑いながら抱きしめて、

(あったかいな…)

あぁそうだ。
あったかいところも好きだな、なんて頭の隅っこで思いながら目をつむった。


「つなもう寝んの?」
「んー、…ねない」


俺の様子を伺うために少し離れたそこが何だか無性に冷たく感じて、
山本を追いかけてまたひっついた。

すると山本は、まぁいっか、なんて笑って俺をまた抱きしめる。

まぁいっかってなんだよ。
寝ないって言ってるじゃんか。


「明日…あ、もう今日か。俺、朝練ないんだぜ」
「そなんだ?」
「顧問のせんせー出張でさ。野球できないのはアレだけどツナと一緒にいれるのな。」
「うん、」
「…ねむい?」
「ねむくないー」


そっか、なんてまた笑いながら言って。
…絶対、山本より後に寝てやるからな。

と、そうは思ってもやっぱり俺は眠かった(だって山本あったかいんだもん)

ダメだ、寝る前にこれだけは、


「やまもと…?」
「お?」


言わなきゃ


「誕生日、おめでとう、…おれ、やまもとが」


言わなきゃいけないことが、


「やまもとがいちばん、すきだよ」



言ったか言わないかのところで、俺の意識は途切れた。
ちゃんと言えたかな。


ねえやまもと、
俺、山本が一番すきなんだ。

抱きしめ合うのもキスをするのも繋がるのも、山本だから嬉しい。
山本だから幸せになれる。
ずっとずっと、山本と一緒にいたいんだ。




朝、俺は山本より先に目を覚ました。

ちょっと幼く見えるその顔が、やっぱり好きで愛しくて。


起こさないようにそっと口唇を寄せた。


「先に寝ちゃってごめんね、…だいすきだよ。」


そう呟いてもう一度、触れるだけのキスをして。

またもとの位置に戻れば山本の心臓がやたら早く鼓動していたけど気付かないふりをして、だいすきだと呟いた(そしたらもっとドキドキいって)(なんかちょっと可愛い)



やまもと、
誕生日おめでとう。

どうかまた一年、君が笑顔でいますように。


そして願わくば、
君の笑顔がどうか俺の一番近くにありますように。



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(つな、が、キスした…!?)



HAPPY BIRTHDAY 山本 !


ってことで山バのお話1つめでした。
ツナくんなりに必死に考えた結果、狸寝入りしてる山本に積極的になってみたようです。
山本は狸寝入りが気づかれてるなんて思ってないよ!






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