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「もうすぐ夏休みだね」

「そうだねー」

「テストも終わったし、もう今年度も終わりだ」

「日本じゃ3月に年度が終わるから変な感じ」

「そうなのかい?変わってるね」

「日本からしてみれば、イギリスも変わってるよ」

「それもそうだね」


晴れた日の午後、いつの間にかこうやってリーマスと2人で湖のほとりで話すのが習慣化していた。リーマスの言葉、「もう今年度も終わりだ」に妙な感慨を覚える。色々、あったなあ。今更だけど。もう6年生も終わる。ホグワーツでめいいっぱい好きに生活できるのはきっと今年が最後だ。

また、夏休みが始まる。
再来年の就職先を日本で決定するため、夏休みは日本に帰ってきて考えろという父さんの要望に応えるため、夏休みいっぱい日本に帰る。イギリスからしてみれば日本って言うのは遠いんだろう、マグルは日本のこと"極東"なんていうんだから。実際に遠い。飛行機に乗ったり煙突飛行で帰ったりしたけれど、途中から面倒になってここ最近日本に帰った記憶はない。だからこそ、寂しい。去年まではキングスクロス駅に行けば簡単にリリーやメアリや、リーマスにも会えたのに。今年は会えない。2ヶ月、って長い。家族に会いたくないわけじゃないけれど、私だって付き合いってものがあるんだから。むかっ腹と言えばむかっ腹。こんなに憂鬱な夏休みは珍しい。


「どうしたの?」


あ、そうか。
いつか日本に帰って、就職して、生活していれば、リーマスとも会えなくなるんだ。会えなくなるっていう事実がすとんと胸の中に落ちてきた。最近先生も友達も将来のことを話しだした。
私には将来のことなんてまだ分からない。将来の夢なんて決めてない。
なんて、はっきり言うことも出来ない。周りは自分で決めて、進んでいく。それが出来ない自分が恥ずかしい。自分だけが置いていかれているみたいで怖い。なにも見えない将来に漠然とした不安に駆られる。


「…ねえリーマス」

「なんだい?」

「将来、何かしたいことってある?」

「……僕は色々な問題があるから」

「問題…」


リーマスは私に隠していることがある。あの3人には話していて、私には話せない何かがきっとある。私には見せてくれない、あの笑顔をあの3人の前はいとも簡単に引き出している。でもそれは私が望んではいけないことなんだ、きっと。私が踏み入れてはいけない境界線。


「……名前」

「何?」

「君が今何を思っていて、何を悩んでいるのか僕には分からないけれど、…君が幸せに生きることが出来る未来を作りたいと思ってる。それが、僕の将来の夢だ」

「な、なにいきなり?」

「いや、別にただ聞いてもらいたくてね」

「……そう?」


聞きたくない言葉が聞こえた。リーマスが私に聞いてほしかったのか、ほろりと零れた本音なのか、私には分からなかった。あの3人になら分かるの?私はあえて聞こえなかった振りをした。それは、私も微かに感じていたみらいだから。





みらいのはなし
(たとえそのとき君の隣に僕がいなくても)