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先輩に大量の難しい仕事を渡した次の朝、先輩はデスクで寝ていた。寝ている先輩の横には書類の山がどんと乗っている。…もしかして終わらせたの?あの量を?

起こさないように先輩のデスクからそっと書類を取る。……終わってる。別に急ぎの仕事じゃなかったのに。でもやっぱりすごいんだ、先輩って。思わず、………惚れなおしてしまいそう。なんだか今のあたし変だな。

デスクの横にかけてあった先輩のコートを取る。ふわりと甘い匂いがした。香水、かな。すごく良い匂い。それを先輩にそっとかけると、微かに唸った。起きないで欲しい。

カーテンの隙間からそっと朝日が差し込んで、先輩の髪がきらきらと輝いた。先輩ってやっぱり綺麗だな、睫毛長いし、マスカラとか使ってないよね?

今あたしがどういう気持ちで先輩を見ているかなんて、寝ている先輩にも起きている先輩にも分からないだろうし、あたしが知って欲しいと想うまで、分かって欲しいとも思わない。でも、今のあたしはやっぱり変だ。知って欲しいとは思わない癖に、なんでだろう、すごく先輩にキスしたい。なんかぞくぞくする。起きないで、でも起きてよ。相反する気持ちがあたしの頭の中でぐるぐるぐるぐる渦巻いて、なんだか気持ち悪い。熱に浮かされたみたいだ。吸い寄せられるようにキスをした。最初は啄むように、段々長めに。

そっと唇を離すと、先輩の瞳がぱちりと開…く…、起きちゃった!


「名前って、寝込みを襲うのが趣味なのか?」

「ち、違っ…」

「うわ、だいたーん。俺びっくりしちゃったよ」


くつくつ笑う先輩になんだか虚しい思いが胸を満たす。


「勘違いされるからやめておけよ、襲われたら大変だぞ」


ぐしゃぐしゃとあたしの頭を撫でる手が、あたしを愛する手になれば良いのに。





常に余裕横溢
(あたしばっか必死になってるみたい)