「せんぱーい、早く仕事してくださいよ」
「ちょっと待てって」
仕事してないし。これでホグワーツの次席だったとか信じられない。今だってマグルの発明品、…テレビだったかな、それに夢中だ。いい年して。溜め息を吐きたくなる。先輩にだけじゃなく、あたしにも。目につくのは嫌なところばかりなのに、嫌いになれないし、むしろ好きな方だし。ていうか先輩って格好良すぎだと思う。さらさらの黒髪に灰色でぱっちりした瞳、鼻はすっと高くて…、一緒に街を歩きたくない人だ。あたしだって初めて見た時はびっくりした。すごく格好良いし。一目惚れしかけた。だけど実際は…
「おい名前、面白いから一緒に見ようぜ!」
これなんだよなぁ…。まるで子供みたいにはしゃいでる。か、わいい、可愛いのは認める、分かる、でも、
「…先輩、仕事」
「あーもう分かったよ」
ぶちぶち言いながら…今舌打ちした!デスクに向かった。あたしだって鬼じゃない。時々はテレビを見ることだって許してる。でもその分損するのは先輩だ。だって先輩のデスクの上にはどんっと書類が乗っている。流石に一日じゃ無理だし、あたしも分かってるけど、ツケが回って来たんだよ、先輩。諦めてね。
思わずるんるんと歌ってしまいそうになりながら、自分のデスクに向かった。
「……終わった」
「はぁ!?」
「終わったんだよ」
嘘、嘘だ!あんな量絶対1日で終わる筈ないのに!あたしだったら3日位余裕でやり続けられる自信がある。(それでも終わらなさそうだ)
「じゃあ、お先に」
「……お疲れ様でした」
縮まらない差
(畜生、格好良すぎだよ)