わかっていたけれど、わたしたちの関係がいきなり何もかも変わるはずがない。ときどきシリウスがわたしのところにやってきて、少し話す程度で去っていくのは変わらない。ただ、ひとつ大きく変わったことは、わたしが“あいつ”ではなく、“シリウス”と呼ぶようになったことだ。そして、それと同時にいくつか気付いたことがある。約束もしていないのに、わたしはいつも図書室の天文学の棚の席に座っているということだ。
今日は小説を読んでいるんだな。
振り向けばシリウスが立っている。もうひとつ気付いたことは、わたしにとって、これまでに本当に響いた言葉がシリウスから発せられたものだったということだ。シリウスはわたしにまぶしいと告げたけれど、シリウスって、きらきらと輝いているのだ。それを告げたら、どのような顔をするのだろうか。どのように答えてくれるのだろうか。まだ、もう少し気付かないふりをしていたいことがいくつかある。やはり、わたしは素直ではない。