×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

きらきらと輝く夜空を映した天窓の下、わたしは大広間で組み分けの儀式を受けた。ありがたい、とも、当然、とも思いつつ、わたしはレイブンクローに組み分けされた。ホグワーツに関する本は幾つか読んだけれど、わたしに合っている寮は良くも悪くもレイブンクローだった。そして、あいつのことも考えていた。あいつの家は代々スリザリンだと知っていたけれど、あいつはどう考えてもスリザリンのようには思えなかった。そんなに考えたくなかったけれど、あいつは何故だかわたしの頭に何度も何度も吹き飛ばしても浮かび上がってきた。レイブンクローの席に着き、まだ心臓が落ち着かないながらもわたしは組み分けを見守っていた。あいつの名前が呼ばれ、やはりあいつはいけ好かない人だけれど、際立って顔が整っていたから目立っていた。スリザリンの生徒たちはにやにやしながら彼の組み分けを見ていた。少し時間がかかった末、帽子が出した答えはグリフィンドールだった。一瞬静まった大広間が、グリフィンドールの生徒からの歓声で包まれるのはそう遅くないことだった。わたしは拍手をするでもなく、ぼんやりとあいつを見つめていた。楽しそうにする笑顔なんて、見たくなかった。ぐっと唇を噛みしめて、早く組み分けが終わらないだろうか、早く宴が終わらないだろうか、早く7年が終わらないだろうか、などとどうしようもないことを考えていた。

入学してからしばらくしても、やはりあいつは人気者だった。スリザリンの生徒からも人気者なのは、家柄のためだろう。そして、あいつは酷く出来がよかった。頑張っているようにも見えなかったが。わたしはいくら努力したってあいつには追いつけないのだと、見返すことなど出来ないのだと、入学して間も無く気付かされた。それでも、努力することはやめられなかった。足元にも及ばなくとも、目すら向けられなくとも。あいつとは違い、表向きだけの友人しか出来ず、授業の前後も休み時間も勉強に当てていた。深夜に空しくなることも多々あった。

そしてある日、ばったりとあいつと向き合うことになった。あいつは楽しそうに友人と話していて、わたしは一人だった。抱え込んでいた本をさらに強く抱きしめて、通り過ぎようとしたとき、あいつはひとことつぶやいたのだ。


君って、かわいそうだな。


そんなことはわたしが一番わかっていた。そんなことはあいつにだけは言われたくなかった。さぁっと血の気が引いた後、かぁっと身体中が熱くなり、その場から逃げだした。全世界のわたし以外に存在する人間が、生物が、わたしを嘲笑っている気がした。