君って、つまらないな。


彼と初めてした会話で言われた言葉がこれだった。それまでのわたしの短い人生の中で、一番見目が整った人に告げられた、一番辛辣な言葉だった。その人はふぅ、とその年にしては慣れきった溜息を吐いてわたしから去って行ったのだ。あのときのわたしは、その人の美しさに見惚れてしまい、何も言うこともできなかったからなのかもしれないけれど、心臓に深く突き刺さったその人の言葉に茫然自失となった。そして滂沱の涙を流した。ありがたいことに、わたしはそこそこ良い家に生まれ、そこそこ頭もよく、そこそこ褒められて育った。そんな甘ったれたわたしにとって、面と向かってそんなことを言われたことは初めてだったのだ。母は私を宥め、彼の母は慌て、彼の弟は困惑し、当の彼はわたしから目を逸らした。なぜわたしが拒絶されなければならないのか。なぜ彼がそんなことを言う必要があったのか。いつまで経っても泣き止まないわたしを連れて、帰らざるを得なくなった母は、彼同様溜め息を吐いた。そんなことをされたこともなかったわたしは更に泣き出した。家に着き、心配してくれた父には見向きもせず部屋に籠ったわたしは、ある決意をした。わたしは、彼を、いや、あいつを見返してやると。馬鹿にされないようになると。