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昨日、予想通りやってきてくれた灰色のふくろうに手紙を持たせてから眠った。いつも通りなら、きっと数日後に返事を届けてくれるはず。でも、もしかしたらあんなに短い文ならすぐ返事をしてくれるかもしれない。早くPからの返事が欲しい。だって、勘違いされたままじゃ辛いもの。もちろんわたしはシリウス・ブラックの恋人ではないし、彼について何とも思っていない。Pだってきっとすぐにわかってくれるはず。……そうはいっても、勘違いされたことに落ち込まないわけがない。1日経っても当然気分が落ち込んでいて、今日だって相変わらずアリス以外はよそよそしくしてくるから朝食もおいしく食べられるはずがなくて、どうせひとりぼっちなら教室にだって行きたくないもの。でも、今日は一日中アリスと一緒だから良かった。しかも呪文学と薬草学。呪文学はレイブンクローと合同だったから、噂を知ってるかもしれないけれど授業に集中している子たちばかりだった。薬草学も作業をしていればすぐに時間が過ぎていくだろう。浮き足立ちながら荷物を鞄に詰めていく。


「あんた、大丈夫なの?」

「何が?」

「何がって……次はグリフィンドールとの合同授業じゃない」


アリスの言葉に教科書を落とす。我ながらなんて古典的な反応。そうだった……。薬草学はグリフィンドールと合同だった。サーッと血の気が引いていく。いつもメアリや他のハッフルパフの友達と作業をやっていたから、グリフィンドールのことを意識したことがなかった。シリウス・ブラックと噂になってから初めての合同授業だ。これまでだって一度も話したことがないから、今日だってきっと何にも話すことがないと思うけれど、それでも気まずい。それに、わたしが関わろうとしなくったって、同じ空間にブラックと一緒にいたら、何かされそうだもの。


「や、休みたい……」

「あんたがそれでいいならいいけど、いいのね?」

「え?」

「昨日だってどうせ休んでいたんでしょう?」

「うぅ……だって……」

「泣いたって仕方ないでしょう。ほら、行くわよ」

「あ、ま、待って……!」


わたしの鞄を奪ってアリスは部屋から出て行ってしまった。あの鞄の中には宝物も入っている。慌ててアリスの後を追いかける。アリスが一緒である限り、サボタージュは許されない。そんなこと、わかっていたけれど。アリスは真面目だから。でも、怖い。ブラックのことがすきな女の子よりも、ブラックが怖い。ブラックはどうせわたしのことなんて知らない。多く見積もっても、「ああ、そんなやつがいたっけな」とかその程度のはずだ。だから、きっと何でこんな地味なわたしなんかと噂にならなくちゃいけないんだって怒っているに違いない。……でも、スプラウト先生の授業だから尚更休めるわけがない。アリスから鞄を取り戻して、俯きながら早歩きでアリスの後に続く。校舎から出て、そろそろ温室に着くと思った時、アリスが立ち止まった。わたしも立ち止まり、顔を上げて、その視線を辿ると、いた。ブラックがいた。心臓が縮み上がる。すると、いつもブラックと一緒にいるジェームズ・ポッターがわたしたちに気付いて、指を差してきた。よ、余計なことをしないで!ブラックもこっちを見てくる。バクバク、と全身が心臓になったように激しく動く。ブラックは少し困ったように、悲しそうな子犬みたいにわたしを見て、温室に入っていった。……な、なぁに?今の表情。いつものブラックの印象とは大違い。アリスと顔を見合わせてしまう。わたし、何かした?狐に抓まれたような出来事はもうたくさんなのに。神様のバカ。