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「#エロ」のBL小説を読む
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昨日、わたしのところにいつも通り夜に紛れてやってきた灰色のふくろうは相変わらず可愛くて綺麗だった。多分オスだけれど。前にかわいいねぇ、と褒めたらふいっと顔を逸らされ、おまけに軽く腕を蹴られてしまったことがあるから。ひどい。ちょっと痛かったんだから。そのあとにちゃんと手に擦り寄ってきたから相殺どころか幸せになったけれど。そんな可愛いふくろうが届けてくれたものを、どうしたものかと悩みながらわたしはベッドの上に寝転がっている。アリスが数占い学に行っているこの時間、本当ならわたしも占い学に行かなくちゃいけないけれど、ペアで授業を受けることが基本の占い学になんて今は行けるわけがなかった。……どうせ、ひとりぼっちになってしまうんだもの。そんなの占い学を習っていなくたってわかってる。


「うぅ……」


涙が出てくる。強く顔を袖で擦ると、ローブの布が思った以上に硬かったせいかヒリヒリと目の周りが痛む。一気に起き上がるとくらりと視界が揺れた。でも、そのまま立ち上がってローブを脱ぐ。もう今日は一日中ベッドの中にいたい。ローブを投げるとカサッと音がして慌ててポケットから羊皮紙を取り出す。あの灰色のふくろうが持ってきてくれた手紙。あの人からの手紙。あの人の本当の名前すら知らないけれど、この秘密の文通は3年生になった時から続いていて、もう2年目になる。ベッドの下の、あの人との手紙を詰め込んだ箱はもう3つ目になっている。時々、アリスも寝静まってさみしくなると、引っ張り出して杖から光を出して読む。それだけで安心する。ベッドに潜り込んで、昨日届いた手紙を広げる。いつもと違って少し崩れている字。それでも十分綺麗だけれど。

君はシリウス・ブラックの恋人だったのか?
彼のこと、君はどう思ってるんだ?
          ――P


何度読み返しても文面は変わらなくて、滲んでいく視界をはっきりさせたくて、何度も今度はシャツの袖で拭うけれど、涙は止まりやしない。Pまで噂を信じるなんて。Pにだけは信じていてほしかったのに。わたしはいつだって、Pの言葉に救われてきたのに。……でも、わかっていた、Pにとってわたしは何てことはない単なる文通相手だって。でも、それと同時に期待もしていたんだ。だって、Pはわたしにいろいろなものをくれたから。言葉を、そして壊されてしまったけれど、わたしの宝物を。あの灰色のふくろうは昨夜しばらく窓のところにいたけれど、いつまでたっても返事を書こうとしないわたしにしびれを切らしてまた夜に溶けて行った。それでも、返事は書かなくちゃ。きっと夜にまたあの灰色のふくろうはやってくる。Pがわたしのことを何とも思っていないってわかっていても、わたしはPとのつながりを途絶えさせたくないもの。起き上がって机に向かって羊皮紙を広げる。泣き面に蜂の日常を早く終わらせてよ。神様のバカ。