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「消えたいと思ったことって、あるか?」


まるで消えてしまいそうに小さな声だった。その言葉はまるで遺言のように聞こえた。


「どうして?」

「ないんだな」


わたしの疑問は突き放された。恐ろしいほど美しく笑い、くしゃりとわたしの頭をいつも通りに撫でた。


「どうして?」


わたしは再び尋ねた。わたしの声は震えていた。手を伸ばしてもかつてのように私の手を掴んではくれなかった。

そしてそれが最後だった。
あの人がわたしに触れ、わたしと共にいた最後の時だ。
今でも、夢に見る最後の夏だ。