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土曜日、体調が回復したようでショーンさんは言葉少なに謝りながら出勤して来た。特に予定はないし、お金だってその分いただけるのだから私としては何の問題もなかった、という風に伝えると、日本風に頭を下げられた。どうやらショーンさんは日本の文化を知っているらしい。


「あ、ショーンさん」

「……ん?」

「あの、向かいの喫茶店にいつも座っている男の人ってご存知ですか?」


こうして改めてショーンさんと話すのは初めてかもしれない。ショーンさんは指示を出すのもほぼ指で、単語を並べていくだけだったから。私が尋ねると少し沈黙が流れる。もしかしてショーンさんも知らない?私にしか見えてない?そもそもショーンさんは仕事中に余所見なんかしていない?私が不真面目なのを怒っている?


「……何かされた?」

「えっ?」

「あの黒髪の男じゃないの?」

「あっ、そうです、その人」

「……時々こっちを見ているのには気付いていた。君に何かしてきたの?」

「全然、何も」

「そう」


それきりショーンさんは興味を失ったように花の手入れをし始めた。慌てて私も水質をチェックする。まだ大丈夫みたい、というよりついさっきショーンさんがやってくれていた。何をやってるんだろう、あの男の人よりも仕事の方が大事に決まってるのに。カウンターに戻ってレシートをチェックしたり、発注書と届いた花を照らし合わせていく。もう少しで開店時間なのだけれど、店長のスーザンさんはまだやって来ない。いつも午後に近くなってからやってくる。特にショーンさんがいる日は、ということに気付いたのは、昨日は開店時間よりずっと前にきていたから。確かにショーンさんは手際も良いし、花を大事にしているのには気付いていた。スーザンさんにそこまで信頼されているのは凄い、羨ましい、と思うと同時に、私も頑張らなければ、という気持ちにもなる。


「いるよ」

「えっ?」

「あの男」




た、同じ場所に