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「え、誰?」

「えっ?」


思わずポカンとしてしまったのは言うまでもない、私の想定と現実が違っていたから。

いつもは月・木・土曜日に無口な30代くらいのショーンさんと店長のスーザンさんと働いているのだけれど、金曜日の今日は体調が悪くなってしまったらしいショーンさんの代わりに来ている。金曜日は彼とゾーイという女の子が働いていたみたいで、この花屋で働き始めてから初めて同年代の女の子と会ったものだから嬉しくて、作業をしつつも恋のことやゴシップのことを話していた。その流れであのハンサムな男の人のことを話に出したのは、当然彼のことを知っていると思ったから。仕事中いつの間にか喫茶店にいて、いつの間にかいなくなっている人だけど、あんなにハンサムだから気付かない方が不自然だし、一度見たら忘れないはず。


「残念だけど知らないわ」

「……そっか」

「もしかして、すきなの?」

「えっ!ち、違うよ、ハンサムだなぁと思っていただけ」

「ふーん、そんなにハンサムなら見てみたいわ。どう?今日はいる?」


まさに好奇心といったように目をキラキラさせながら通りを挟んで向こう側の方の喫茶店をゾーイは見ている。私もそっちを見て探してみるけれど、今日はいない。おかしい、いるものだと思っていたのに。


「ゾーイって何曜日に働いてるの?」

「火曜と金曜だけど」

「じゃあもしかして、私がいつも来ている曜日にしかいないってことかなぁ……」

「いいわね、何だか示し合わせている感じでロマンティック」

「なっ、何言ってるの?名前だって知らないし、そんなのって……」

「まぁまぁ落ち着きなさいよ。あ、いらっしゃいませー」


ゾーイは私をからかっていたみたいで、毎日この時間になると花を買って行ってくれるアーンさんを見つけると駆け寄って行ってしまった。ロマンティック、だなんて。私はただたまたま彼を見つけただけなのに。




んの関係もない、生まれもしないのだから