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嫌われてはいないと思う。むしろ好かれてる方だとも思えるくらい、俺達の仲は良好だ。しかしそれは俺が求めている結果に帰着しそうか、と聞かれれば、そうだと言い切れる自信はないし、端から見てもそんな状況にないことくらい簡単に想像出来る。


「馬鹿だね」

「……うるさい」

「本当にくだらない、2人は周りから見てても良い感じだよ。良い意味で」

「例えそうだとしても名前がそう思ってるかどうかはわからないだろ」

「堂々巡り」

「……わかってるさ、そんなこと」

「それに、そう考えること自体、名前に失礼だと思わないの?もし違ったら勝手に1人で自己完結したことになるんだから」

「…………」

「それに、そう思っちゃうのは自分に問題があると思い込んでるからでしょう」


否定は出来そうにない。ひいき目に見ずしても名前はいい子だ、俺にはもったいなさすぎるくらい。大抵のことはやりこなす、闇払いとしても有能だと聞いている。その反対に一体俺は何なんだ?世間的には猟奇的殺人犯、脱獄者、お尋ね者ときてる。それに加えて、名前と俺じゃ歳が離れすぎている。温くなったコーヒーを飲み干して目を閉じれば、簡単に思い起こせる色々な名前の顔。笑顔も怒った顔も泣き顔も、ああもう俺はいくつだ?こういうところは年齢に見合わないくせにな。


「会いたい」

「……それ、本人に言ってよね。しかも他の女の前にいるときに言うものじゃない」

「悪い悪い」

「悪いなんて思ってないくせに」

「思ってるさ。……ところで君は?」

「何が?」

「とぼけるなよ。リーマ、」

「やめて!もう、意地悪!私のことは良いの!」


トンクスは肩を怒らせながらキッチンから出ていった。わかりやすいあの態度が俺にも出来たら良いのに。本人に言えと言われた言葉も、簡単に言えたら苦労なんてしない、俺にもっと自信があったら良かったのに。小さな頃、それこそホグワーツにいた頃ならこんなに悩むこともなかったんだろうな。あの頃は無鉄砲というか何というか、自分に出来ないことは何もないと思い込んでいたんだ。能力も高かったし女の子にも人気があったから尚更。それが今はどうだ?今じゃ自分の家から出ることも出来ない。情けない、すきな女にも思いを告げられない。いや、告げられはするんだ。名前に嫌われてるとは思わない。だけど、このままが心地良い、ぎくしゃくとした関係にはなりたくない。要は臆病なんだ。笑ってくれよ、ジェームズ。あのシリウスが何を言ってるんだ、って。


「ブラックさん!」

「……え?」

「お久しぶりです」

「ど、どうして……」

「来たかったから来ちゃいました」


えへへと笑う名前が俺の隣に座る。ふわりと甘い香りが漂った。どきりと胸が疼く。来たかったから、ってどういうことだ?どうして期待させるようなことを言うんだよ。狙ってるのか?それとも天然なのか?後者だったら更に質が悪い。


「どうかしました?」

「……いや」

「何かあったんですか?私で良ければ話くらい聞きますけど」

「へぇ。じゃあいつか、な」

「あ、馬鹿にしてます?私だって、ブラックさんに比べたらまだまだ子供だけど、子供じゃないんですからね」

「……矛盾してないか?」

「してませんー」


子供じゃないことくらいわかってるんだよ。でも、子供だと思わないとどうにかしてしまいそうで怖いんだ。民族性のせいなのかわからないけど幼く見える顔だちも、真剣そうな表情になれば年相応に見える。その差が恐ろしい、魅了されてるやつが俺以外にもいるならと考えるだけで。


「私ばっかり」

「え?」

「ブラックさんはいつもそう、私が頑張ってもサラっと流しちゃうんだから」

「名前?」

「だから嫌なんです、落ち込むんです、私なんかじゃやっぱり駄目なんでしょう?私だってわかってます、自分がいかに子供っぽいかなんて。トンクスと同い年とは到底思えない、周りから見ても自分で見ても。ブラックさんに比べたら、」

「おい、落ち着けよ」

「私は本当に子供っぽいから。少し近付けたかと思ったらすぐにブラックさんは離れていく。落ち込ませないで、だったら突き放してよ」

「名前、」

「ブラックさんは私のことをどう思ってるの!?」

「すきだ」

「……へ?」

「ごめん、こんな形で言うつもりじゃなかったんだけど」

「うそ、」

「嘘じゃない」


手を伸ばして名前に触れる。小さな手、俺の手で包み込めるほど。それは女だからなのか子供だからなのかわからない。子供、子供と思っていても名前はそこまで子供といえる年齢じゃないのに。でも、女か子供かなんてどうでもいいんだ。だって名前だから。


「ごめん」

「……どうして謝るの?」

「壁を作ろうとして避けた」

「…………」

「名前をこれ以上すきにならないように」

「何で?」

「名前は俺といて良い人間じゃない」

「……え?」

「名前はすごい人間だ、俺なんかとは比べものにならないくらい。それに、名前は若い。この先俺なんかよりずっと良い人間が現れる」

「どうでもいい、そんなこと」

「…………」

「私はブラックさんがすきなの。ブラックさんがどんなコンプレックスを持っていてもブラックさんが良い」

「…………」

「ブラックさんがどう思っていようと、私はブラックさんを手放すつもりはありませんから」

「……望むところだ」




ねむさま、リクエストありがとうございました!年の差恋愛をを楽しく書かせていただきました。いかがでしたでしょうか?ご希望に沿えてると嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。